相続対策浜松市 太田 滋会計事務所 http://www.okc-inc.com/shigeru/浜松市中央区三方原町71番地の
15 電話053-438-0162
相続税対策とは、相続税を節税する方法です。正味の遺産総額が基礎控除額「3000万円+600万円×法定相続人の
数」を超えると、超えた分が相続税の課税対象となります。そして、相続税の金額は相続財産の評価額に応じて決まりま
す。生前に相続財産を少なくする対策をしておけば、相続税も少なくなります。また、相続税を支払うための納税資金を
準備しておくと安心です。
相続税とは 相続税は、死亡した人(被相続人)の財産を相続又は遺贈(贈与をした者の死亡に より効力を生ずる贈与
を含む。以下同じ。)により取得した配偶者や子など(相続人等) に対して、その取得した財産の価額を基に課される租税
である。
により蓄積した財産を相続開始の時点で清算する、いわ ば所得税を補完する機能である
納税義務者
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|||
2024(令和6)年分の所得税・2024(令和6)年度分の個人住民税について、納税者及び同一生計配偶者又は扶養親族(居住者に限ります。)1人につき、所得税額から3万円・個人住民税所得割額から1万円の定額減税額が控除されます。
(例) 合計所得金額が1,805万円以下で同一生計配偶者1人と扶養親族1人の3人世帯の場合
所得税の定額減税額 3万円×3人=9万円
個人住民税所得割の定額減税額 1万円×3人=3万円
合計 12万円の減税
(実施時期)
【所得税】 詳細については、こちらをご確認ください
担税力の指標 |
租 税 の 種 類 |
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所 得 |
所得税、法人税 |
直 接 税 |
資 産 |
相続税、贈与税 |
|
消 費 |
消費税など |
間 接 税 |
取 引 |
印紙税 |
所得税の税率は、超過累進税率の適用 所得税の税率は、所得の大小にか かわらず一律に一定税率を課する比例税
率でなく、所得が増加するにつれて、その増加部分に、順次、高い税率を適用するという制度を採っている。これを「超
過累進税率」という。
全国森林計画は、令和6年4月1日から令和21年3月31日の15年間を計画期間とするものです。
国税不服審判所「審査請求書の提出前のチェックシート」用紙[PDF/149KB]
· 「審査請求書の補正書」用紙[PDF/100KB][WORD/67KB]
·
審査請求を受けた国税不服審判所では、審査請求人と原処分庁の各主張の間で争いのある点を中心に調査及び審
理を行った上で裁決を行います。
国税不服審判所 所得税法関係
は、「重要なものの記載が不十分であると認められる場合」に該当して財産債務に係る過少申告加算税等の特例による
加重措置の対象となるとした事例(令和3年分の所得税及び復興特別所得税に係る過少申告加算税の賦課決定処
分、過少申告加算税の変更決定処分・却下及び棄却、却下)
令和6年2月7日裁決
①裁判上の和解に基づく停止条件付の贈与契約について、停止条件が成就したのは、不動産の売買契約が成立した
時と解するのが相当であるとした事例▼ 裁決事例集 No.68 - 135頁
➁同族会社が請求人の父から借地権の無償設定を受けたことにより出資者である請求人が利益を受けた時期は、土
地賃貸借契約で定められた賃貸借の始期であるとした事例▼ 裁決事例集 No.75 - 481頁
審査請求を受けた国税不服審判所では、審査請求人と原処分庁の各主張の間で争いのある点を中心に調査及び審
理を行った上で裁決を行います。
国税不服審判所 所得税法関係
は、「重要なものの記載が不十分であると認められる場合」に該当して財産債務に係る過少申告加算税等の特例による
加重措置の対象となるとした事例(令和3年分の所得税及び復興特別所得税に係る過少申告加算税の賦課決定処
分、過少申告加算税の変更決定処分・却下及び棄却、却下)
令和6年2月7日裁決
審査請求書」の書き方[PDF/348KB]
·
「審査請求書の提出前のチェックシート」用紙[PDF/149KB]
· 「審査請求書の補正書」用紙[PDF/100KB][WORD/67KB]
· 「代理人の選任(解任)届出書」用紙[PDF/155KB][WORD/205KB]
· ※ 代理人が税理士(税理士法人及び税理士業務を行う弁護士等を含む。)の場合
· 「代理人に特別の委任(特別の委任の解除)をした旨の届出書」用紙[PDF/99KB][WORD/67KB]
· 「書類の送達先を代理人とする申出書」用紙[PDF/114KB][WORD/81KB]
· 「総代の選任(解任)届出書」用紙[PDF/128KB][WORD/158KB]
· 「審査請求人の地位承継及び総代選任の届出書」用紙[PDF/191KB][WORD/169KB]
· 「審査請求人の地位の承継の許可申請書」用紙[PDF/169KB][WORD/198KB]
· 「反論書の提出について」用紙[PDF/104KB][WORD/69KB]
· 「証拠説明書」用紙[PDF/119KB][WORD/27KB]
· 「審査請求人意見書の提出について」用紙[PDF/99KB][WORD/66KB]
· 「審査請求への参加申請書」用紙[PDF/100KB][WORD/65KB]
· 「参加人意見書の提出について」用紙[PDF/123KB][WORD/79KB]
· 「口頭意見陳述の申立書」用紙[PDF/102KB][WORD/63KB]
· 「補佐人帯同申請書」用紙[PDF/115KB][WORD/91KB]
· 「閲覧等の請求書」用紙[PDF/134KB][WORD/64KB]
· 「質問、検査等を求める旨の申立書」用紙[PDF/103KB][WORD/66KB]
· 「徴収の猶予等の申立書」用紙[PDF/101KB][WORD/62KB]
· 「滞納処分による差押えの解除等の申請書」用紙[PDF/109KB][WORD/76KB]
· 「審査請求の取下書」用紙[PDF/103KB][WORD/62KB]
裁判所
裁判所動画
家事調停
家事調停動画
家事調停(かじちょうてい、英: family mediation、family conciliation、中: 家庭调解、繁: 家事調解、独:
Familienmediation、仏: médiation familiale、朝: 가사 조정、西: mediación familiar、伊: mediazione familiare)とは、家庭
内又は親族間での紛争について、第三者が手続を主催して当事者間の合意による解決を目指すこと(調停手続)、ある
いはこの手続により成立する合意そのものを言う。この記事では、司法当局の審理判断の対象となる紛争(この記事で
は「家事紛争」と言う。)について、裁判手続の代替(ADR[1])として法令の根拠に基づいて行われる、すなわち当該法域
の公式の制度として行われる家事調停を中心に記述する。
家事紛争は誰もが当事者になる可能性のある紛争であり、家事調停の手続自体は当事者にとって容易に理解できるも
のである。また、以下で説明するとおり、家事調停は古くから世界各地で用いられてきた家事紛争の解決手続である。と
ころが、司法制度における家事調停の位置付けは、時代によっても同時代の法域相互でも、大きな差異がある。つまり
、長年にわたって世界各地で膨大な数の家事調停が行われてきたのに、家事調停の制度設計には単一の最適解が見
出されていない。家事調停には、このような意味での奥深さがある。
430-8520(静岡地方裁判所浜松支部)
430-8570(浜松簡易裁判所)
430-8620(静岡家庭裁判所浜松支部)
所在地
静岡県浜松市中央区中央1-12-5(「JR浜松駅」北口・広小路地下道出口C番から北へ徒歩約10分
遠州鉄道の「遠州病院駅」から東へ徒歩約5分)
※裁判所専用駐車場はありませんので,自動車での来庁は御遠慮ください
電話番号代表053-453-7155
電話番号一覧(PDF:64KB)
1.審査請求書や反論書などの作成・提出
審査請求書や反論書は、e-Taxを利用して作成・提出することができます。その他の利用可能な手続きは、e-Taxホ
ームページの『申請・届出手続(審査請求関係)』をご覧ください。また、添付書類についてはイメージデータ(PDF形式)
で提出することができます。イメージデータ(PDF形式)で提出可能な添付書類については、『イメージデータにより提出可
能な添付書類[PDF/109KB]』をご覧ください。
なお、e-Taxを利用して、審査請求書や反論書などを作成・提出するにはe-Taxソフトのインストールが必要となりま
す。e-Taxソフトは、e-Taxホームページの『e-Taxソフトのダウンロードコーナー』でダウンロードすることができます。
◎リーフレット「e-Taxを利用して審査請求ができます」[PDF/1,309KB]
2.証拠書類等の提出など
証拠書類等の提出など、e-Taxホームページの『申請・届出手続(審査請求関係)』に手続名の記載がないものでも、
提出書類をイメージデータ(PDF形式)に変換して、e-Taxで送信(提出)することができます。イメージデータ(PDF形式)
で送信可能な手続は、e-Taxホームページの『イメージデータで送信可能な手続検索』でご確認ください。
なお、これらの手続は、e-Taxソフトをインストールしている場合のほか、e-Taxソフト(WEB版)を利用して行うこともで
きます。e-Taxソフト(WEB版)の詳細は、e-Taxホームページの『e-Taxソフト(WEB版)について』をご覧ください。
その他、 e-Taxの詳細につきましては、『e-Taxホームページ(トップペー
1 個人住民税とは
4 納める時期と方法
11 退職金にかかる住民税
審査請求は、税務署長や国税局長などが行った処分に不服がある場合に、その処分の取消しや変更を求めて、国税不服審判
所長などに対して不服を申し立てる制度です。
○ 国税不服審判所長に対する審査請求は、再調査の請求(改正前:異議申立て)を経ずに直接行うことができます。また、再
調査の請求を行った場合であっても、再調査の請求についての決定(再調査決定)後の処分になお不服がある場合に行うこ
とができます。
○ 国税不服審判所は、審査請求人(納税者)と賦課徴収を行う税務署や国税局との間に立ち、公正な第三者的立場で裁決を
行っています。
自転車走行中の携帯電話使用(ながら運転)や酒気帯び運転に罰則を盛り込んだ改正道路交通法が1日、施行された
。若い世代を中心にスマートフォンのながら運転が絡む事故が増えており、罰則強化により抑止を図る。自転車の交通
違反には2026年から反則金制度も適用される。ルールが大きく変わり、周知が課題になる。
「11月から酒気帯び運転やながら運転の罰則が強化されます。ながらスマホはやってしまいがちですので注意してください
相続財産の評価方法
相続財産は、基本的に相続発生時の価格で評価を行います。現金や預金のように価格が分かりやすいものもあり
ますが、不動産のように素人では評価が難しいものもあります。
代表的な相続財産について、評価方法をご説明します。
現金・預金
普通預金は亡くなった日(相続開始日)の残高がそのまま評価額になりますが、定期預金については残高に加え.
て相続開始日に解約した場合に受け取ることのできる利子(既経過利子)も加算されます。評価手続きとしては、
預金のある金融機関に相続開始日現在の残高証明を発行してもらいます。定期預金については利息計算書も必要とな
ります。
また、現金も相続税の対象となりますので、実際の金額を課税対象に入れる必要があ
ります。課税対象に含めずに申告した場合も、生前の収入や預金を引き出した記録などから税務署に発見されることは
多いようです。
土地
土地の評価方法は路線価方式と倍率方式があります。どちらかを選ぶのではなく、相続する宅地と接している道路
に路線価が設定されていれば路線価方式、路線価格が定められていない地域であれば倍率方式で評価します。
路線価方式は「路線価×各種補正率×宅地面積」で計算します。補正率には、奥行きが長い場合の「奥行き長大
補正率」間口が狭い場合の「間口狭小補正率」などがあります。また、複数の道路に面している場合は「路線価×奥行
価格補正率」が最も高くなる路線価を基準として計算します。
路線価は主に市街地に設定されているため、市街地の宅地についてはおおむね路線価方式となります。
倍率方式は「固定資産税評価額×評価倍率」で計算します。固定資産税評価額は市町村役場にある固定資産課税
台帳で、評価倍率は評価倍率表から知ることができます。
路線価図や評価倍率表、各種補正率は国税庁のこちらのページから確認可能です。
小規模宅地等の評価減
被相続人が住居用や事業用として使っていた土地は、一定の基準を満たせば小規模宅地等の評価減の特例を適用
することができます。
なかでも高い評価減を受けられるのは、被相続人が居住用に使用していた宅地で、次のいずれかの要件を満たせば、
330㎡まで80%の割引となります。
小規模宅地等の評価減の特例
これにより、自宅の土地を配偶者が相続するケースでは、ほとんどの場合評価額は80%減となります。
建物
被相続人の住宅や貸付事業以外の事業用の建物は、固定資産税評価額がそのままになります。
固定資産税評価額は、都の税事務所や市町村役場の固定資産税課で確認することができます。
マンションについては建物部分と土地部分で別々に評価するため、「建物部分の固定資産税評価額+マンションの
敷地全体の評価額×持ち分割合」で計算します。
株式・投資信託等の有価証券
相続財産には、株式や投資信託などの有価証券が含まれていることも多くあります。有価証券はその種類によって評価
の方法が異なるため、代表的なものについてご説明します。
上場株式
ほとんどの財産は、相続発生時の価格が評価額となりますが、値動きの激しい株式を相続発生日の終値で決めてし
まうと相続人が値動きによる不利益を被る可能性があります。このため、上場株式には4通りの評価額があり、このうち
の最も低い金額で評価します。
証券会社に残高証明書を依頼する際に、株式数だけでなく時価、利率、相続税評価額等を記載してもらえば、評価はさ
ほど難しくありません。
非上場株式
取引相場のない株式については、3種類の方法を用いて評価を行います。
純資産価額方式 |
純資産価額を発行済み株式で割って計算 |
類似業種比準方式 |
業種が類似する上場会社の株価と、1株当たりの配当・利益・純資産を元にして計算 |
配当還元方式 |
配当金から逆算して株価を求める |
オーナー社長自身が所有する株式については、大会社は類似業種比準方式、中会社は類似業種比準方式と純資産価
格方式の併用、小会社は純資産価格方式で評価を行います。
一方、会社の支配権をほとんど持っていない株主(小数株主)については、配当還元方式で評価を行います。配当還元
方式で算出した価格が他の方式による価格より高い場合は、オーナー社長と同じ評価方法を選ぶこともできます。
非上場株式の評価は素人には難しいため、税理士に相談するのが良いでしょう。
譲渡所得の計算のしかた(総合課税)
土地建物や株式等以外の資産を売ったときの譲渡所得は、給与所得や事業所得などの所得と合わせて総合課税の対象となります。
長期譲渡所得と短期譲渡所得
この総合課税の譲渡所得は、取得したときから売ったときまでの所有期間によって長期と短期の二つに分かれます。
長期譲渡所得となるのは、所有期間が5年を超えている場合で、短期譲渡所得となるのは、所有期間が5年以内の場合です。
ただし、次の場合には、所有期間が5年以内の場合でも長期譲渡所得となります。
(1)自分が研究して取得した特許権や実用新案権などの工業所有権
(2)自分の育成による育成者権
(3)自分が著作した著作権
(4)自分で発見した鉱山などの採掘権
(5)配偶者居住権を取得した日からの所有期間は5年以内であるが、被相続人がその配偶者居住権の目的となってい
る建物を取得した日からの所有期間が5年を超える場合
(6)配偶者敷地利用権を取得した日からの所有期間は5年以内であるが、被相続人がその配偶者居住権の目的となっ
ている建物の敷地の用に供される土地等を取得した日からの所有期間が5年を超える場合
計算方法・計算式
譲渡所得の計算
総合課税の譲渡所得の金額は次のように計算し、短期譲渡所得の金額は全額が総合課税の対象になりますが、長期
譲渡所得の金額はその2分の1が総合課税の対象になります。
譲渡所得の金額 = 譲渡価額 - (取得費(注1) + 譲渡費用(注2))-50万円(注3)
(注1)取得費とは、一般に購入代金のことです。このほか、購入手数料や設備費、改良費なども含まれます。ただし、使
用したり、期間が経過することによって減価する資産にあっては、減価償却費相当額を控除した金額となります。
(注2)譲渡費用とは、売るために直接かかった費用のことです。
(注3)譲渡所得の特別控除の額は、その年の長期の譲渡益と短期の譲渡益の合計額に対して50万円です。その年に
短期と長期の譲渡益があるときは、先に短期の譲渡益から特別控除の50万円を差し引きます。
なお、譲渡益の合計額が50万円以下のときは、その金額までしか控除できません
譲渡所得の対象となる資産と課税方法
譲渡所得とは、資産の譲渡による所得をいいます。
譲渡所得の対象となる資産とは
譲渡所得の対象となる資産には、土地、借地権、建物、株式等、金地金、宝石、書画、骨とう、船舶、機械器具、漁業権
、取引慣行のある借家権、配偶者居住権、配偶者敷地利用権、ゴルフ会員権、特許権、著作権、鉱業権、土石(砂)な
どが含まれます。
なお、貸付金や売掛金などの金銭債権は除かれます。
資産の「譲渡」とは
譲渡とは、有償無償を問わず、所有資産を移転させる一切の行為をいいますので、通常の売買のほか、交換、競売、公
売、代物弁済、財産分与、収用、法人に対する現物出資なども含まれます。また、次の場合にも資産の譲渡があったも
のとされます。
(1) 法人に対して資産を贈与した場合や限定承認による相続などがあった場合
次のイまたはロのような事由により資産の移転があった場合には、時価(通常売買される価額をいいます。以下同じ。)
で資産の譲渡があったものとされます。
イ 法人に対する贈与や遺贈、時価の2分の1未満の価額による譲渡
ロ 限定承認の相続や限定承認の包括遺贈(個人に対するものに限られます。)
(2) 1億円以上の有価証券等を所有している一定の居住者が国外転出等をする場合(平成27年7月1日以後)
詳しくはコード1478「国外転出をする場合の譲渡所得等の特例」をご覧ください。
(3) 地上権や賃借権、地役権を設定して権利金などを受け取った場合
建物や構築物を所有するための地上権や賃借権(以下「借地権」といいます。)の設定などにより受ける権利金などにつ
いて、その金額が借地権の設定された土地の時価の2分の1(地下または空間について上下の範囲を定めたものである
場合等は4分の1、大深度事業と一体的に施行される事業により設置される施設等の全部の所有を目的とする地下に
ついて上下の範囲を定めたものである場合は4分の1にさらに一定の割合を乗じたもの)を超える場合には、譲渡所得
の対象とされます。
(4) 資産が消滅することによって補償金などを受け取った場合
収用などにより、借地権、漁業権などの資産が消滅したり、その価値が減少することにより一時に補償金などを受け取
ったときは、その補償金などは譲渡所得の対象とされます。
(5) ストック・オプション税制の適用を受けて取得した株式の返還または移転があった場合
詳しくはコード1541「ストック・オプション税制の適用を受けて取得した株式の返還または移転があった場合」をご覧くださ
。
(6) 特定従事者がストック・オプション税制の適用を受けて取得した株式を保有したまま国外転出する場合
詳しくはコード1542「特定従事者がストック・オプション税制の適用を受けて取得した株式を保有したまま国外転出する場
合」をご覧ください。
所得税の課税されない譲渡所得
資産の譲渡による所得のうち、次の所得については課税されません。
(1) 生活用動産の譲渡による所得
家具、じゅう器、通勤用の自動車、衣服などの生活に通常必要な動産の譲渡による所得です。
ただし、貴金属や宝石、書画、骨とうなどで、1個または1組の価額が30万円を超えるものの譲渡による所得は除きます。
(2) 強制換価手続により資産が競売などをされたことによる所得
資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難な場合に、強制換価手続(滞納処分や強制執行、担保権の実行として
の競売、破産手続等)により、資産を譲渡したことによる所得および強制換価手続の執行が避けられないと認められる
場合における資産の譲渡による所得で、その譲渡代金の全部が債務の弁済に充てられたものです。
(3) 貸付信託の受益権等の譲渡による所得
償還差益につき租税特別措置法41条の12第1項の規定の適用を受ける割引債、預金保険法2条2項5号に規定する長
期信用銀行債等、貸付信託の受益権、農水産業協同組合貯金保険法2条2項4号に規定する農林債の譲渡による所得
です。
(4) 国または地方公共団体に対して財産を寄附した場合や、公益を目的とする事業を行う法人に対する財産の寄附
で国税庁長官の承認を受けた場合の所得
法人に対して財産を贈与または遺贈(以下「寄附」といいます。)した場合には、時価で財産の譲渡があったものとされま
すが、国や地方公共団体に対して財産を寄附した場合や、公益を目的とする事業を行う法人に対する財産の寄附で国
税庁長官の承認を受けた場合には、その寄附はなかったものとみなされます。
詳しくはコード3108「国や地方公共団体又は公益を目的とする事業を行う法人に財産を寄附したとき」をご覧ください。
(5) 国等に対して重要文化財を譲渡した場合の所得
文化財保護法により指定されている重要文化財(土地を除きます。)を国、独立行政法人国立文化財機構、独立行政法
人国立美術館、独立行政法人国立科学博物館、地方公共団体、一定の地方独立行政法人または一定の文化財保存
活用支援団体に譲渡した場合の譲渡所得については、課税されません。
(6) 財産を相続税の物納に充てた場合の所得
財産を相続税の物納に充てた場合には、その財産の譲渡はなかったものとみなされます。
ただし、物納の許可限度額を超える価額の財産を物納した場合には、その超える部分は譲渡所得の課税対象になりま
す。
(7) 債務処理計画に基づき資産を贈与した場合の所得
法人に対して財産を贈与した場合には、時価で財産の譲渡があったものとされますが、中小企業者である法人の取締
役等でその法人の債務の保証人であるものが、その法人の事業の用に供されている資産を、債務処理計画に基づき令
和7年3月31日までの間にその法人に贈与した場合には、一定の要件の下、その贈与はなかったものとみなされます。
譲渡所得以外の所得として課税されるもの
資産の譲渡による所得であっても、次の所得は譲渡所得ではなく、事業所得や雑所得、山林所得として課税されます。
(1) 事業所得者が商品、製品、半製品、仕掛品、原材料などの棚卸資産を譲渡した場合の所得は、事業所得となりま
す。
(2) 不動産所得や山林所得、雑所得を生ずる業務を行っている者がその業務に関して上記(1)の棚卸資産に準ずる
資産を譲渡した場合の所得は、雑所得となります。
(3) 使用可能期間が1年未満の減価償却資産、取得価額が10万円未満である減価償却資産(業務の性質上基本的
に重要なものを除きます。)、取得価額が20万円未満である減価償却資産で、取得の時に「一括償却資産の必要経費
算入」の規定の適用を受けたもの(業務の性質上基本的に重要なものを除きます。)を譲渡した場合の所得は、事業所
得または雑所得となります。
(4) 山林を伐採して譲渡した場合または立木のまま譲渡した場合の所得は、山林所得となります。ただし、山林を取
得してから5年以内に譲渡した場合は、事業所得または雑所得となります。
なお、山林を土地付きで譲渡する場合の土地部分は、譲渡所得になります。
(5) (1)から(4)までの資産以外の資産を相当の期間にわたり、継続的に譲渡している場合の所得は、事業所得また
は雑所得となります。
計算方法・計算式
譲渡所得は、譲渡資産の種類によって、次の表のように分離課税の対象になるものと、総合課税の対象になるものとに
区分して課税されます。
分離課税:譲渡所得金額についての税額を、事業所得や給与所得などの他の所得の金額とは区別し、租税特別措置法
に規定された税率によって計算します。
総合課税:譲渡所得の金額を事業所得や給与所得などの他の所得の金額と合計し、所得税法に規定された累進税率
によって税額を計算します。
租税特別措置法 第30条の2 山林所得に係る森林計画特別控除
※第30条の2第7項第2号の改正規定は、令和6年1月1日施行(令和4年度税制改正・本文未反映) |
個人が、平成24年から令和6年までの各年において、その有する山林につき森林法(昭和26年法律第249号)第11条
第5項(同法第12条第3項において準用する場合、木材の安定供給の確保に関する特別措置法(平成8年法律第47号)
第8条の規定により読み替えて適用される場合及び同法第9条第2項又は第3項の規定により読み替えて適用される森
林法第12条第3項において準用する場合を含む。)の規定による市町村の長(同法第19条の規定の適用がある場合に
は、同条第1項各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める者。第5項において同じ。)の認定を受けた同法第11
条第1項に規定する森林経営計画(同条第5項第2号ロに規定する公益的機能別森林施業を実施するためのものとして
財務省令で定めるもの及び同法第16条又は木材の安定供給の確保に関する特別措置法第9条第4項の規定による認
定の取消しがあったものを除く。第5項及び第8項において「森林経営計画」という。)に基づいてその山林の全部又は一
部の伐採をし、又は譲渡(交換及び出資による譲渡その他政令で定める譲渡を除く。)をした場合(所得税法第59条第1
項第1号の規定の適用がある場合及び森林の保健機能の増進に関する特別措置法(平成元年法律第71号)第2条第2
項第2号に規定する森林保健施設を整備するために当該伐採又は譲渡をした場合を除く。)には、当該伐採又は譲渡
の日の属する年分の当該伐採又は譲渡に係る山林所得の金額に対する所得税法第32条第3項の規定の適用につい
ては、同項に規定する必要経費を控除した残額は、当該残額に相当する金額から当該山林に係る森林計画特別控除
額を控除した残額に相当する金額とする。
所得税の節税方法10選!
所得税の節税方法には、確定拠出年金やふるさと納税、青色申告などさまざまな方法があります。個人事業主だけでな
く、会社員も利用できる節税方法を紹介します。
確定拠出年金
確定拠出年金は、老後の資産形成を目的とした年金制度です。加入者自らが運用商品を選び、毎月一定額を積み立て
ます。事業主主体の「企業型年金(企業型DC)」、個人主体の「個人型年金(iDeCo)」の2つのタイプがあります。毎月の
掛け金は所得控除(小規模企業共済当掛け金控除)の対象となるため、その年の所得税や翌年の住民税を抑えること
が可能です。運用で得た利益は全額非課税です。さらに、給付金を受け取る際も「公的年金等控除」または「退職所得
控除」と各種税制優遇が適用されます。
NISA
NISA(少額投資非課税制度)口座で得た運用益は非課税になります。非課税枠や非課税保有期間、投資可能な商品な
どが決められている点には注意が必要ですが、節税しながら資産形成ができる投資制度の定番といえます。
現状、NISAには「一般NISA」「つみたてNISA」「ジュニアNISA」の3種類があり、種類によって商品の性格が異なるので
注意が必要です。また、2020年度制度改正により、ジュニアNISAの新規口座開設は2023年末で終了、一般NISAは新
NISA(仮)として生まれ変わる予定です。
ふるさと納税
ふるさと納税は、自分の生まれ故郷や応援したい地方自治体に寄付することで寄附金控除が適用される制度です。寄
付した金額の2,000円を超える部分に所得税の還付や住民税の控除が受けられます。
仮に5万円寄付したとすると、そこから2,000円を差し引いた4万8,000円が控除対象となるため、実質自己負担分は
2,000円です。ただし、収入や家族構成によって控除上限額が定められている点に注意しましょう。
生命保険料控除・地震保険料控除
生命保険料や地震保険料を支払っている場合は、所得から一定額の控除が可能です。生命保険控除は保険の締結日
によって控除額が変わります。平成24年1月1日以後に締結した新契約では最高4万円、それ以前の旧契約では最高5
万円の控除額です。
そこに介護医療保険料控除(新保険契約の場合)、個人年金保険料控除が加わると、新契約で最高12万円、旧契約で
最高10万円の控除額になります。地震保険料控除は、最高5万円の控除です。
扶養控除
年間の合計所得が48万円以下(パート・アルバイトの場合は年収103万円以下)で、生計を一にしている親族がいる場
合は、扶養に入れることで扶養控除が受けられます。
控除対象となるのは16歳以上です。19歳未満であれば38万円の控除額、19歳以上23歳未満は63万円の控除額となり
ます。このように扶養控除は扶養親族の年齢によって区分・控除額が変わる点に注意が必要です。
住宅ローン控除
一戸建て住宅やマンションの購入、リフォームのために住宅ローンを利用した際、一定の要件を満たしていれば住宅ロ
ーン控除を受けられます。毎年末のローン残高から0.7%をその年の所得税から控除、所得税から控除しきれない金額
は住民税からも一部控除されます。
対象となる住宅は、形式や築年数にかかわらず、ほぼ全ての住宅が対象です。一定の所得要件はありますが、これか
らマイホームを取得する、リフォームするといった場合には検討するとよいでしょう。
医療費控除
自身や生計を一にする親族が一定額を超える医療費を支払った場合、医療費控除を受けられます。医療費の対象とな
るのは治療費だけでなく、通院のための交通費や医療器具なども対象です。ただし、美容整形や自家用車のガソリン代
、駐車場代などは認められません。
セルフメディケーション税制
セルフメディケーション税制は、健康増進や疾病の予防に取り組んでいる人が特定の医薬品を購入した際、その購入費
用のうち1万2,000円を超える部分を所得から控除できる制度です(上限は8万8,000円)。
対象医薬品は、医師から処方される医薬品の他、薬局やドラッグストアなどでも購入可能です。なお、医療費控除との併
用はできません。
青色申告
青色申告は確定申告の方法のひとつで、最高65万円の特別控除が受けられます。収入や経費といった日々の取引を
複式簿記で記帳しなければならない手間がありますが、控除額が大きい点はメリットです。
特定支出控除
会社員が特定の費用を自腹で支払った場合、その支出額が給与所得控除額の半分を超えていれば、給与所得控除後
の所得金額から差し引けます。
対象となる支出には、通勤費・出張費・転居費・研修費・資格取得費などがあります。対象となるのは会社員で、制度を
受けるためには給与の支払証明書や支出明細書といった必要書類を添付し、確定申告しなくてはいけません。
所得税の計算方法と実例
ここでは年収1,000万円の会社員が納める所得税の計算方法と実例を紹介します。計算式は以下のとおりです。
・所得税額=所得金額(収入-必要経費-所得控除)×所得税率-控除額
まず課税される所得金額から求めます。年収1,000万円の給与所得控除は195万円です。基礎控除48万円も差し引きま
す。社会保険料の控除額は賞与の有無などによりケース・バイ・ケースなので、ここでは150万円と仮定します。差し引い
た607万円に税率20%をかけ、控除額42万7,500円をマイナスすると、所得税額は「78万6,500円」となります。
節税で注意すべきポイント
所得税の基本は「各種控除をきちんと受ける」ことです。要件に当てはまる控除制度は見逃さないようにしましょう。また
、青色申告する場合は、必要経費を漏れなく計上することが大切です。ここでは、節税で注意すべきポイントを3つ紹介し
ます。
節税のために過度に出費を増やさない
節税のためといって、過度に出費を増やすのは本末転倒といえます。例えば「ふるさと納税の寄付金額が控除上限額を
超える」「経費計上するために大きな買い物をする」といった行為です。
節税のためといって収益用不動産を購入する方もいますが、不動産は出口戦略が必要です。相応の知識を持っていな
いと思うような結果を得にくいでしょう。
経費計上を漏れなく行う
青色申告で確定申告を行う際は、きちんと必要経費を計上することが大切です。飲食代や印紙代、インターネット代など
の事業に関わるものであれば、原則的に経費として認められます。
また、個人事業主の方で、自宅を仕事場としている場合、家賃や光熱費なども一定の割合(家事按分)で経費計上が可
能です。
受けられそうな控除は残さず受ける
受けられそうな控除はきちんと受けることで、大きな節税につながります。医療費控除や住宅ローン控除など、要件に該
当するのか確認し、漏れなく受けることが大切です。
すでに紹介した控除制度以外にもさまざまな控除があるため、国税庁の公式サイトで利用できるものがないか確認して
みましょう。
(参考:『No.1100 No.1100 所得控除のあらまし
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1100.htm
税金の納付は遅れずに!確定申告の納税期限は3月15日
所得税の納付は期限が決まっています。納付期限を過ぎると延滞税が発生するため、期限までにきちんと納付しましょ
う。所得税の納付期限は確定申告書の提出期限と同じ日です。納税方法は以下の5つです。
・指定した金融機関の預貯金口座から振替納税・インターネット等を利用した電子納付・クレジットカードで納付
・コンビニエンスストアで納付・現金で納付所得税をまとめて納めるのが難しい場合は、延納を利用する手もあります。延
納は、納める税額の半分以上を納付していれば、残りの納付期限を延長できる制度です。ただし、延納期間中は利子
税がかかる点に注意しましょう。
なお、「確定申告は個人事業主がするもの」といったイメージが強いかもしれませんが、年収が2,000万円を超える方や、
副業での収入が20万円を超える方は、会社員であっても確定申告が必要です。
節税方法にはさまざまな方法があり、何から手をつけたらよいか分からない方も多いと思います。また節税方法には自
分に適した効果的な方法もあります。
譲渡所得の計算式(総合課税の譲渡所得)
譲渡価額 – (取得費 + 譲渡費用) − 50万円 = 譲渡所得の金額
項目 |
内容 |
譲渡価額 |
資産を譲渡する際の値打ち |
取得費 |
その資産を買った時の購入費用。購入手数料や設備費、改良費なども含まれる。 |
譲渡費用 |
その資産を売るために直接かかる費用 |
50万円 |
総合課税の譲渡所得に対する特別控除額(これを差し引いて譲渡所得がマイナ |
短期譲渡所得 (所有期間が5年以内) |
長期譲渡所得 (所有期間が5年超) |
譲渡所得の全額が課税対象 |
譲渡所得の1/2が課税対象 |
譲渡所得の計算方法(分離課税:土地・建物)
譲渡価額 – (取得費 + 譲渡費用) − 特別控除 = 譲渡所得の金額
内容 |
土地や建物を譲渡する際の値打ち |
土地や建物の購入費をはじめ、建築費用やリフォーム代、設備費などが含まれ |
譲渡する際に支払った販売手数料や収入印紙代など。 土地を売るために建物 |
マイホームを売った場合の3,000万円の特別控除など、場合によっては特別控除 |
平成25年から令和19年までは、復興特別所得税も
株を売ったときの譲渡所得も「分離課税」の対象です。 他の所得とは合算せず、区別して税額を計算します。上場
株を売った場合、シンプルに下記の税率で課税されます。
所得税 15% + 住民税 5% = 合計 20%
平成25年から令和19年までは、復興特別所得税も
なお、証券口座で「特定口座(源泉徴収あり)」を選んだ場合、上記の税率であらかじめ源泉徴収されます。 ですから、そ
の譲渡益について確定申告をする必要はありません。
譲渡所得 |
所有期間 |
所得税 |
復興特別所得税 |
住民税 |
合計 |
長期譲渡所得 |
譲渡した年の1月1日現在の所有期間が5年超 |
15% |
基準所得税額の2.1% (=0.315%) |
5% |
所得税15.315%+住民税5%=20.315% |
譲渡所得 |
所有期間 |
所得税 |
復興特別所得税 |
住民税 |
合計 |
短期譲渡所得 |
譲渡した年の1月1日現在の所有期間が5年以下 |
30% |
基準所得税額の2.1% (=0.63%) |
9% |
所得税30.63%+住民税9%=39.63% |
所有期間が10年というのは、売却した年の1月1日に土地や建物の所有期間が10年を超えていることが条件です。なお「
居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」と併用することができます。
税率については以下の通りです。
区分 |
譲渡所得税 |
復興特別所得税 |
住民税 |
合計 |
譲渡所得6,000万円以下 |
10% |
基準所得税の2.1% |
4% |
10.21%+4%=14.21% |
譲渡所得6,000万円超 |
15% |
基準所得税の2.1% |
5% |
15.21%+5%=20.315% |
適用条件を確認する
軽減税率の特例が適用になるのは、以下の5つの要件を満たすことが必要です。実際に確認してみましょう。
土地や建物を売ったときの譲渡所得の金額の計算上、特例として特別控除が受けられる場合があります。内容
譲渡の種類とその特別控除額は、次のとおりです。
(1)公共事業などのために土地や建物を売った場合の5,000万円の特別控除の特例
(2)マイホーム(居住用財産)を売った場合の3,000万円の特別控除の特例
(被相続人の居住用財産(空き家)を売った場合の特別控除の特例)
(3)特定土地区画整理事業などのために土地を売った場合の2,000万円の特別控除の特例
(4)特定住宅地造成事業などのために土地を売った場合の1,500万円の特別控除の特例
(5)平成21年及び平成22年に取得した国内にある土地を譲渡した場合の1,000万円の特別控除の特例
(6)農地保有の合理化などのために土地を売った場合の800万円の特別控除の特例
(7)低未利用土地等を売った場合の100万円の特別控除の特例注意事項
(1)それぞれの特別控除額は、特例ごとの譲渡益が限度となります。
(2)特別控除額は、その年の譲渡益の全体を通じて、合計5,000万円が限度となります。
(3)5,000万円に達するまでの特別控除額の控除は、上記「内容」の(1)から(7)の特例の順に行います。
遺言の方式 |
概 要 |
|
普 通 方 式 |
自筆証書遺言 (民法968) |
遺言者がその全文、日付及び氏名を自書し、押印したもの (注1) |
公正証書遺言 (民法969) |
遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授するなど一定の要件を 備えた公正証書により行ったもの |
|
秘密証書遺言 (民法970) |
遺言者が署名押印して封印した遺言書を公証人及び証人の 前に提出し、遺言者の遺言書であることの証明を受けたもの |
|
特 別 方 式 注 2 |
死亡危急者遺言 (民法976) |
疾病等により死亡の危急が迫った者が、証人3人以上の前で 遺言の趣旨を口授、証人が筆記するなど一定の要件を備えたも の。遺言の日から20日以内に家庭裁判所に請求しその確認を得 なければ効力を失う(民法976④)。 |
船舶遭難者遺言 (民法979) |
遭難した船舶中に在って死亡の危急に迫った者が、証人2人 以上の立会いをもって口頭で行ったもの。遅滞なく家庭裁判所 に請求しその確認を得なければ効力を失う(民法979③)。 |
|
伝染病隔離者遺言 (民法977) |
伝染病のため行政処分によって交通を断たれた場所に在る 者が、警察官1人及び証人1人以上の立会いをもって作成したも の |
|
在船者遺言 (民法978) |
船舶中にある者が、船長又は事務員1人及び証人2人以上の立 会いをもって作成したもの |
(注)1 平成30年民法改正により、財産目録等を添付する場合には、その目録については、 自書することを要しないこと
とされた。 2 特別方式の遺言は、遺言者が普通方式による遺言をすることができるようになっ た時から6か月生存する
ときは効力を失う(民法983⦅特別の方式による遺言の効力 ⦆)。
遺言の撤回 遺言者は、いつでも、遺言の方式に従って、その遺言の全部又は一部を撤回すること ができる(民法1022
⦅遺言の撤回⦆)。 前の遺言が後の遺言と抵触するときは、その抵触する部分については、後の遺言で前 の遺言を撤回
したものとみなされる(民法1023⦅前の遺言と後の遺言との抵触等⦆)。ま た、遺言者が故意に遺言書を破棄したときは、
破棄した部分については撤回したものと みなされる(民法1024⦅遺言書又は遺贈の目的物の破棄⦆)。
知って置きたい遺言書のこと。無効にならないための書き方、残し方
遺留分権利者 |
遺留分の割合 |
相続人が直系尊属(父母など)のみ |
遺留分算定の基礎となる財産の1/3 |
上記以外(配偶者や子供など) |
遺留分算定の基礎となる財産の1/2 |
遺留分権利者と遺留分の割合 遺留分制度は、相続人のうち一定の者には必ず一定の割合の相続分を確保できる制
度 であるが、この割合を「遺留分」といい、遺留分を有する相続人を「遺留分権利者」とい う。 民法では、遺留分権利者
及び遺留分を次のとおり定めている(民法1042⦅遺留分の帰属 及びその割合⦆)。
なお、兄弟姉妹には遺留分権がない。したがって、相続人が配偶者と兄弟姉妹の場合に、 「配偶者に全ての財産を遺
贈する」旨の遺言があったときには、全ての財産を配偶者が取 得することになる。
一般的な贈与の他、特殊な形熊の贈与として、次のものがある。
贈与の種類 |
贈 与 の 形 態 |
定期贈与 (民法552) |
「毎年100万円ずつ10年間贈与する」というように、定期の給付を目的 とする贈与。贈与者の死亡により終了する。 |
負担付贈与 (民法553) |
「不動産の贈与に当たり、その取得時の借入金の一部を負担させる」と いうように、受贈者に一定の給付をなすべき義務も負わせる贈与 |
死因贈与 (民法554) |
「自分が死んだら、この家をやる」というように、財産を贈与する者が 死亡したときに効力が生ずる贈与(不確定期限付の贈与である)。 |
親族・親等図表
相続財産全体を減らすことが相続税節税につながる
相続税の計算ではまず、「相続財産」から借金や未払い金、葬儀費用などを差し引いた「正味の遺産額」を計算します。
この「正味の遺産額」から「基礎控除」を差し引いたものが「課税遺産総額」です。この課税遺産総額が相続税計算の基
本となる額です。相続財産-債務=正味の遺産額
正味の遺産額-基礎控除=課税遺産総額つまり、全ての計算のスタートとなるこの「相続財産」を減らすことにより、相
続税は節税することができます。相続財産を減らすことで相続税を減らす方法は多岐に渡り様々存在しますが、相続税
対策として特に代表的なものとしては以下のような方法が上げられます。
以下よりひとつずつ解説していきます。
贈与の非課税枠を使いながら相続財産を減らす(暦年贈与)
年間110万円の贈与税非課税枠を活用して、将来の相続財産を少しずつ減らしていく
贈与税の歴年課税制度には110万円の非課税枠がありますので、その「非課税枠」の範囲内であれば税金を一切かけ
ずに財産を移すことが可能です。この110万円の非課税枠を利用して節税を進める方法のことを「暦年贈与」と言います。
非課税枠を使って将来の相続財産を少しずつ減らしていくことができます。もちろん暦年贈与にはメリットだけでなくデメ
リットもありますので、それぞれご紹介します。
暦年贈与のメリット
贈与者・受贈者共に条件がない
この暦年課税制度を利用した贈与には贈与する側、贈与を受ける側ともに条件はありません。
受贈者を増やして贈与できる
贈与税の非課税枠110万円は贈与を受け取る側の条件ですので、受贈者が多ければその分贈与額を増やすことができ
ます。
例えば息子や娘に加え、孫2人にも贈与するという場合には、110万円×4人=440万円税金をかけず贈与し、相続財産
を子や孫に移すことができます。
110万円以下であれば贈与税申告も不要
さらにこの暦年課税制度を利用した贈与では110万円以下であれば非課税であることに加え、税務署への申告も必要あ
りません。※贈与契約書は作成しておくことをお勧めします。
孫への2割加算がない
相続では財産を受け取る側の方が亡くなった方の「一親等の血族」や「配偶者」でなければ相続税の2割に相当する金
額が「加算」されてしまいます。
しかし贈与税にはそのような規定はありません。
そのため例えば「孫」などへ生前贈与しても「2割加算」はされずに、通常の贈与税の計算で贈与税額が算定されます。(
孫へ「相続」する場合には2割加算が適用されます。)また受贈者である孫などの直系卑属が20歳以上であれば「特定
贈与」に該当して控除額が増えるというメリットもあります。
暦年贈与のデメリット
相続前3年の贈与は相続財産として課税される
暦年課税制度による贈与では、相続開始前3年に贈与した財産に関しては「相続財産」として課税されてしまいます。
※もしこの3年の間の贈与で贈与税を支払っているのであればその支払った贈与税は相続税額から税額控除されます。
多額の財産を移す場合時間がかかる
非課税枠は110万円が限度ですので、多額の財産を移そうとする場合には時間がかかります。「余命宣告を受けている
」というようなケースでは節税対策として有効とは言えません。
連年贈与とみなされる場合もある
決まった時期、決まった額を贈与している場合には注意が必要です。この場合税務署としてはもともと決まった額を贈与
するつもりであり、それを単に分割して贈与しているだけ(連年贈与)と判断することがあります。連年贈与と判断されると
合計額に対して課税されてしまいます。
相続財産に加算されない贈与を活用する
「暦年課税制度による贈与」は相続開始前3年以内の贈与である場合、相続財産に加算されてしまいます。しかし「相続
開始前3年以内の贈与」であっても相続財産として加算されない贈与もあります。この贈与を有効に使えば相続税を節
税することができます。
この4つの贈与の非課税枠部分関しては相続開始前3年以内の贈与であっても相続税には加算されません。それぞれ
の贈与についての概要をご紹介します。
贈与税の配偶者控除の特例
婚姻期間が20年以上の夫婦であれば、居住用不動産または居住用不動産を取得するための金銭の贈与が行われた
場合、最高で2000万円まで控除(配偶者控除)を受けることができます。
贈与税の配偶者控除の概要 |
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条件 |
婚姻関係が20年以上の夫婦 |
|
居住用不動産または居住用不動産を取得するための金銭の贈与 |
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控除額 |
最高2,000万円 |
|
控除制度の中でも一般的な配偶者控除は2000万円の非課税枠が認められていま...この記事を読む
住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税
この特例は令和4年1月1日から令和5年(2023年)12月31日までの特例で、父母や祖父母など直系尊属から自己の居
住のための住宅用の家屋の新築、取得または増改築等の対価に充てるための金銭を取得した場合、一定の要件を満
たすときは最高1,000万円非課税となる制度です。
住宅取得等資金の贈与の概要 |
||
条件 |
父母や祖父母など直系尊属から |
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住宅用の家屋の新築、取得または増改築等の対価に充てるための金銭 |
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非課税枠 |
・省エネ等住宅の場合:最高1,000万円 |
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教育資金の一括贈与時の非課税
この特例は平成25年4月1日から令和8年(2026年)3月31日までの特例で、直系尊属(曾祖父母・祖父母・父母等)から
30歳未満のひ孫・孫・子へ教育資金を贈与した場合、受贈者1人につき、1,500万円まで贈与税が非課税となる制度で
す。(学校等以外(塾・予備校等)へのお支払は500万円まで非課税)
教育資金一括贈与の概要 |
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条件 |
直系尊属(曾祖父母・祖父母・父母等)から |
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30歳未満のひ孫・孫・子へ教育資金を贈与した場合 |
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非課税枠 |
受贈者1人につき、1500万円 |
|
法定相続人への贈与だけでは節税に限界がありますね。そんな時はかわいい...この記事を読む
結婚・子育て資金の一括贈与時の非課税
この特例は平成27年4月1日から令和7年(2025年)3月31日までの特例で、父母や祖父母から18歳~49歳の子供や
孫に対して結婚、出産、子育てのための資金を贈与した場合に、贈与を受けた一人につき1,000万円(結婚に際して支
出する費用については300万円)までは贈与税が非課税となる制度です。
結婚・子育て資金の一括贈与の概要 |
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条件 |
父母や祖父母から18歳~49歳の子供や孫へ |
|
結婚、出産、子育てのための資金 |
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非課税枠 |
贈与を受けた一人につき1,000万円 |
|
非課税財産への組み替えにより相続財産を減らす
相続税のかからない財産を生前に取得したり、事前に支払いをしておくことによって相続財産を減らすことができます。
以下のものは相続税がかからない財産となります。
相続税がかからない財産
現金として相続財産を持っていると100%相続税がかかってしまいますので、生前に墓地や墓石など生前に買えるもの
を購入すること、また生命保険に加入することなど、相続財産を非課税財産(相続税のかからない財産)に組替えておく
ことが節税対策として有効です。
生命保険を活用した節税対策
生命保険には500万円に法定相続人の数を掛けた金額までの非課税枠があります。
生命保険の非課税限度額=500万円 × 法定相続人の数
非課税枠が使える受取保険金は、「死亡」を原因として受取った保険金に限られます。また保険の受取人が相続人でな
い場合はこの非課税枠は使えません。
生命保険の死亡保険金はどうでしょう?
会社を設立することによる相続税の節税対策もあります。
相続における法人設立のメリット
相続において法人を設立する代表的なメリットは以下の通りです。
役員報酬として被相続人に財産を移転
法人を設立することにより、被相続人に対して役員報酬を通して財産を生前に移転させることができます。
退職金としての非課税枠
法人を設立することによって退職金を支払うことができます(個人事業では退職金を払うことはできません)。
退職金については勤続年数に応じて所得税での優遇も設けられています。また相続や遺贈によって受け取る退職手当
金に対しても500万円×法定相続人の数の非課税枠もあります。
退職金の非課税限度額 |
500万円×法定相続人の数 |
法人経費として相続財産を減らす
交通費や宿泊代、電話代やインターネットなど、事業に関係するものであれば法人の経費として落とすことができます。
賃貸管理会社設立により相続財産を増やさない
相続財産を減らす努力ともう一つ「相続財産を増やさない」という節税対策もあります。
賃貸マンションやアパートなどの「家賃収入」が入ってくる収益物件を持ち続けていると、将来の相財産は増え続けてい
きます。
賃貸物件の「管理会社」を設立すると収益を分散することができ、相続財産の増加を軽減させることができます。
相続財産の評価を下げることによる節税方法
現預金で持ち続けていても相続財産としての評価は下がりません。現預金「以外」の財産に組み替えることで「評価」を
下げることができます。
現預金を株式にして評価を下げる
会社を設立し現預金を「株式」にすることで相続財産としての評価を下げることができます。
自社株を譲渡する際には役員退職金などの特別損失を出して1株当たりの利益金額を下げ自社株を生前贈与しておく
などの節税対策もあります。
評価差額の大きな資産へ組み替える
現金⇒建物、現金⇒土地のように相続財産としての評価差額が大きな資産へ組み替えをすることで相続税を大幅に節
税することができます。
建物は固定資産評価額により相続評価されます。固定資産評価は通常取得額の6割程度となるため、建物への組み替
えを行うことにより4割程度、相続税評価を下げることができます。
その建物を賃貸する場合、さらにそこから3割評価を下がることもできます。
相続開始後に相続財産の評価を下げる
これまで紹介してきた方法は、生前に行う節税対策でした。ここからご紹介するものは相続税申告の際に行う節税方法
です。
申告の際に大きく節税することができるのは特例や補正を行うことによる土地の評価部分です。
特例を使うことにより土地の評価を下げる
小規模宅地の特例を使うことにより土地の評価を最大8割下げることができます。小規模宅地の特例が認められるのは
大きく分けてこの三つです。
特定居住用宅地等(住宅で使っている土地)
亡くなった方の自宅の敷地のうち330㎡までの部分が8割減額されます。
減額が使えるのは以下の土地です。
8割減が使える土地
貸付事業用宅地等(第三者に貸している土地)
亡くなった方が貸している土地のうち200㎡までの部分が5割減額されます。
減額が使えるのは以下の土地です。
5割減が使える土地
特定事業用宅地等(事業で使っている土地)
亡くなった方が事業をやっていた土地(店舗等)は、400㎡までの部分が8割減額されます。
減額が使えるのは以下の土地です。
8割減が使える土地
小規模宅地の特例の限度面積と減額割合をまとめると以下のようになります。
適用対象の宅地 |
減額割合 |
限度面積 |
特定の居住用の宅地 |
80% |
330㎡ |
特定の事業用の宅地 |
80% |
400㎡ |
貸付事業を行う宅地 |
50% |
200㎡ |
Q死因贈与と通常のや遺贈、相続との違いはどのような点にあるのでしょうか。
A
通常の売買等を除き財産が移転される原因として、相続、遺贈、生前贈与が挙げられます。このうち生前贈与以外は人
の死亡によって財産が移転されますが、対象となる人の範囲や方法にそれぞれ下記の特徴があります。
|
死因贈与 |
遺贈 |
相続 |
相続時精算課税 |
生前贈与 |
移転時期 |
相続時 |
相続時 |
相続時 |
贈与時 |
贈与時 |
対象 |
限定なし |
限定なし |
法定相続人 |
60歳以上の者から推定相続人または孫 |
限定なし |
課税種目 |
相続税 |
相続税 |
相続税 |
贈与税20%後相続税で精算 |
贈与税 |
その他 |
両者の合意 |
遺言書 |
― |
贈与時の価額で相続税に加算 |
相続開始前7年内相続財産に加算する場合あり |
減価償却費の計算
建物の取得費は購入代金等から減価償却費を控除した金額となります。
住宅用建物の減価償却費の計算方法は定額法と定率法がありますが、マイホームなどの非業務用資産は定額法に
よって減価償却費の計算を行います。
建物取得費用の計算式
建物の取得価額×0.9×償却率× 経過年数(※1)= 減価償却費相当額(※2)
非事業用事業用の償却率
国税庁 建物の取得費の計算 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3261.htm
建物の取得費用の計算
Aさん
2001年(平成13年)5月に土地価格1,500万円、建物価格2,500万円合計4,000万円の木造建売住宅を購入した。それを
2021年6月に3,000万円で売却した。建物取得費の計算はいくらになる?
経過年数は20年と1ヶ月。経過年数の6か月以上の端数は1年とし、6か月未満の端数は切り捨てます。
建物価格の計算
2,500万円×0.9×0.031(償却率)×20(経過年数)=13,950,000(減価償却費)
建物の価格は・・・
2,500万円―13,950,000=11,050,000円
Aさんの場合の土地・建物の取得価格は
土地価格1,500万円+建物価格1,105万円=2,605万円
2,605万円に他の取得費用や譲渡費用を足したものが譲渡所得(売却代金等)から差し引くことができます。
土地建物価格が不明な場合の計算
一括購入した場合の土地と建物の価格の区分方法については、税法上、特別の規定はありません。客観的に区分され
ていれば認められます。
具体的な区分方法としては、次のような方法が考えられます。もし1で計算が可能な場合には1で計算するのが最も
合理的な方法になります。
消費税から建物価格を逆算する方法
尚、消費税率は購入時の税率で計算してください。
消費税率改定履歴
建物価格を支払った消費税から算出する計算式を一回で行えるサイトを見つけましたので下記に載せておっきます。
消費税から建物価格を計算https://keisan.casio.jp/exec/system/1535594767
標準建築単価による方法
建物価格が分からない場合は、延べ床面積に下記の単価をかけることで取得価格を求めることができます。
例えば平成16年5月築木造延床100㎡の購入時の価格が3,500万円で令和3年5月に売却する場合、
100㎡×152,100=15,210,000円(建物の価格)
35,000,000円―15,210,000万円=19,790,000円(土地価格)
建物価格を減価償却していきます。
15,210,000×0.9×0.031×17=7,214,103円(減価償却費)
15,210,000-7,214,103=7,995,897円(建物価格)
19,790,000円(土地価格)+7,995,897円(建物価格)=27,785,897円
土地建物の取得費の金額
27,785,897円
固定資産税評価額の比率で按分する方法
固定資産税・都市計画税の評価額で按分する方法で、毎年4月以降に市町村から郵送される納税通知書に評価額が記
載されています。
土地の時価を算定し残りを建物価格とする方法
付近に取引事例が多く、その評価に客観性がある場合に採用できます。
土地価額は地価公示価格を参考にする方法なども考えられます。
全国地価マップhttps://www.chikamap.jp/chikamap/Portal?mid=216
中古で購入した住宅を売却した場合の取得費の計算
中古住宅を購入して、住み替え等の理由で中古住宅を売却する場合は以下の流れで減価償却費と取得価格を計算し
ます。(一括購入で土地・建物価格が不明の場合の流れ)
建物の価格と土地の価格を計算するのは新築で購入した場合と同じで、中古住宅の場合の違いは新築時~購入時、購
入時~売却時と2回減価償却費の計算をするところだね。
もう一度建物取得費の計算式を載せとくね。
建物の取得価額×0.9×償却率× 経過年数= 減価償却費相当額
非事業用事業用の償却率
増改築をした自宅を売却する場合の計算 ケーススタディ
売主
1991年(平成3年)5月に3,000万円で建築した木造の建物を2021年(令和3年)5月に売却しました。この建物に対
して2011年(平成23年)8月に800万円をかけて増改築をしております。この場合の建物の取得費の計算方法につ
いて教えて。
① 新築部分
30,000,000円 × 0.9×0.031× 30年 = 25,110,000円
30,000,000円 − 25,110,000円 = 4,890,000円
② 増改築部分
2011年(平成23年)8月〜2021年(令和3年)5月・・・9年9ヶ月 なので10年
※経過年数6ヶ月以上の端数は1年とし、6ヶ月未満は切り捨てます。
8,000,000円 × 0.9 × 0.031× 10年 = 2,232,000円
8,000,000円 − 2,232,000円 = 5,768,000円
③ 建物の取得費
4,890,000円 + 5,768,000円 = 10,658,000円
建物と同じように増改築部分も減価償却の計算をして、最後に足せば建物の取得価格が出せるのね!
所得金額調整控除
所得金額調整控除とは、一定の給与所得者の総所得金額を計算する場合に、一定の金額を給与所得の金額から控除
するというものです。
所得金額調整控除には、次の子ども・特別障害者等を有する者等の所得金額調整控除または給与所得と年金所得の
双方を有する者に対する所得金額調整控除のとおり、2種類の控除があります。
このうち、子ども・特別障害者等を有する者等の所得金額調整控除は、年末調整において適用することができます。
子ども・特別障害者等を有する者等の所得金額調整控除
その年の給与等の収入金額が850万円を超える居住者で、(1)のイからハのいずれかに該当する者の総所得金額を計
算する場合に、(2)の所得金額調整控除額を給与所得から控除するものです。
(1)適用対象者
イ 本人が特別障害者に該当する者
ロ 年齢23歳未満の扶養親族を有する者
(2)所得金額調整控除額
{給与等の収入金額(1,000万円超の場合は1,000万円) - 850万円}×10%=控除額※
※1円未満の端数があるときは、その端数を切り上げます。
年末調整においてこの控除の適用を受けようとする給与所得者は、その年最後に給与等の支払を受ける日の前日まで
に、給与の支払者に所得金額調整控除申告書を提出する必要があります。
(注)この控除は、扶養控除と異なり、同一生計内のいずれか一方のみの所得者に適用するという制限がありません。し
たがって、例えば、夫婦ともに給与等の収入金額が850万円を超えており、夫婦の間に1人の年齢23歳未満の扶養親族
である子がいるような場合には、その夫婦双方が、この控除の適用を受けることができます。
給与所得と年金所得の双方を有する者に対する所得金額調整控除
その年において、次の(1)に該当する者の総所得金額を計算する場合に、(2)の所得金額調整控除額を給与所得から
控除するものです(注)。
(1)適用対象者
その年分の給与所得控除後の給与等の金額と公的年金等に係る雑所得の金額がある居住者で、その合計額が10万
円を超える者
(2)所得金額調整控除額
{給与所得控除後の給与等の金額(10万円超の場合は10万円) + 公的年金等に係る雑所得の金額(10万円超の場合
は10万円)}-10万円=控除額(注)
(注)上記の「子ども・特別障害者等を有する者等の所得金額調整控除」の適用がある場合はその適用後の給与所得の
金額から控除します。
対象者または対象物
給与所得のある方
「給与所得」と「公的年金等に係る雑所得」の両方がある人の場合
給与所得控除+公的年金等控除=20万円の引き下げ
基礎控除10万円引き上げ
となり、税負担が増えてしまいます。
そうなってしまわないように、給与所得控除.公的年金等控除、どちらか片方の「控除額(10万円)の引き下げ」分を相殺
しています。
それが、所得金額調整控除における、上記の取り扱いです。
特定同族会社事業用宅地等と貸付事業用宅地等が混在する場合
問 被相続人甲は、自己の所有する土地(400)の上に建物1棟を所有し、甲が発行済株式総数の60%の株式を有す
る会社A社に対してその建物を相当の対価を得て貸し付けていた。
A社は、甲から借受けた建物の1階を日用雑貨小売業の店舗として利用し、2階をB社に貸し付けている。
甲の子乙(乙は相続税の申告期限においてA社の役員となっている。)及び子丙(丙は相続税の申告期限においてA
社の役員ではない。)は、甲がA社に貸し付けていた建物とその敷地について、各々2分の1を相続により取得した。
また、乙及び丙は、相続開始時から申告期限まで引き続きその建物をA社に貸し付けており、A社は申告期限まで引
き続きその建物の1階を日用雑貨小売業の店舗として利用し、2階をB社に貸し付けている。
この場合、小規模宅地等の特例の適用対象として選択できる部分はどの部分か。
答
特定同族会社事業用宅地等に該当するためには、その宅地等が「法人の事業の用に供されていた宅地等」であるとい
う要件がある(措法69の4三)。
この場合の「法人の事業」からは、不動産貸付業、駐車場業、自転車駐車場業及び準事業が除かれている(措法69の
4一、措令40の2)。
また、特定同族会社事業用宅地等に該当するためには、「当該宅地等を相続又は遺贈により取得した当該被相続人
の親族(申告期限において当該法人の法人税法第2条第15号に規定する役員(清算人を除く。)である者に限る。)が相
続開始時から申告期限まで引き続き有し、かつ、申告期限まで引き続き当該法人の事業の用に供されているもの」とい
う要件がある(措法69の4三、措規則23の2)。
したがって、本件の場合、乙が相続により取得した部分(400×1/2=200)のうち、A社が日用雑貨小売業の店舗
として利用している部分(100)は、特定同族会社事業用宅地等として、小規模宅地等の特例の適用を選択することが
できる。
また、丙が相続により取得した部分(400×1/2=200)のうち、A社が日用雑貨小売業の店舗として利用している部
分(100)は、丙が申告期限においてA社の役員になっていないため特定同族会社事業用宅地等には該当しないもの
の、A社がB社に貸し付けている部分(200)と同様に、貸付事業用宅地等として、小規模宅地等の特例の適用を選択
することができる。
ただし、小規模宅地等の特例の適用に当っては、限度面積要件があるため、乙及び丙が取得した特例の選択が可能
な部分のすべてを小規模宅地等の特例の適用対象として選択することはできない。
仮に、特定同族会社事業用宅地等(100)と貸付事業用宅地等(300)のうち限度面積要件を満たした150を選択
(選択に当たっては、乙の取得した部分について75、丙の取得した部分について75とする。)して、小規模宅地等の
特例の適用を受ける場合の相続税の申告書第11・11の2表の付表2の1(小規模宅地等についての課税価格の計算明
細(その1))、第11・11の2表の付表2の2(小規模宅地等についての課税価格の計算明細(その2))及び第11・11の2
表の付表2の3(小規模宅地等についての課税価格の計算明細(その3))の記載は次頁のとおり。
〔特定同族会社事業用宅地等に該当する部分〕
乙・・・100
〔貸付事業用宅地等に該当する部分〕
乙・・・100、丙・・・200
相続の欠格 後妻 【半血】 欠格事由に該当する相続人の相続権を、何らの手続を経なくとも当然に剥奪する制 度をい
う(民法891⦅相続人の欠格事由⦆)。 〔欠格事由〕
① |
故意に被相続人又は相続について 先順位若しくは同順位にある者を死亡す るに至らせ、又は至らせようとしたため、刑に処せられた者 |
➁ |
被相続人の 殺害されたことを知って 、これを告発せず、又は告訴しなかった者 |
③ |
詐欺又は 強迫によって 、被相続人が相続に関する遺言をし、撤回し、取り消 し、又は変更することを妨げた者 |
④ |
詐欺又は強迫によって、 被相続人に相続に関する遺言をさせ、撤回をさせ、 取り消させ、又は変更させた者 |
➄ |
相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、又は隠匿した者 |
法定相続分
複数の相続人が共同で相続する場合、これらの相続人を共同相続人といい、共同 相続人は、相続により
被相続人の権利義務を各自の相続分に応じて承継する(民法 896⦅相続の一般的効力⦆)。 民法は、法定相続分及び代
襲相続分について次のように定めている(民法900⦅ 法定相続分⦆、901⦅代襲相続人の相続分⦆)。
相続人 |
法定相続分 |
留意事項 |
子と配偶者 |
子 2分の1 配偶者 2分の1 |
子が数人あるときは 留意事項 、子の法定相続分を均分す る。 |
直系尊属と配偶者 |
直系尊属3分の1 配偶者 3分の2 |
直系尊属が数人あるときは、直系尊属の法定相 続分を均分する。 |
兄弟姉妹と配偶者 |
兄弟姉妹4分の1 配偶者 4分の3 |
兄弟姉妹が数人あるときは、兄弟姉妹の法定相 続分を均分する。 ただし、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹 (半血兄弟姉妹)の相続分は、父母の双方を同じ くする兄弟姉妹(全血兄弟姉妹)の相続分の2分 の1とする。 |
遺産分割の方法
現物分割 |
遺産を現物のまま分割する方法で、通常多く行われる方法である。 |
換価分割 |
遺産の一部又は全部を金銭に換え、その換価代金を分割する方法である。 |
債務負担による 分割(代償分割) |
共同相続人の一人又は数人が遺産の現物を取得し、取得した者が他の 相続人に対し、自己の財産を与える方法である。 |
(注)遺産分割の手続の方法は、①協議分割、②調停分割、③審判分割がある。
普通養子と特別養子制度の比較
区 分 |
普通養子 |
特別養子 |
養親の制限 |
成人である者 |
満25歳以上の夫婦(一方が25歳 未満の場合は、その者が20歳以 上)で共に養親 |
養子の制限 |
養親より年少者 |
原則として15歳未満 |
縁組の手続 |
養子が未成年でなければ当事者 |
家庭裁判所の審判が必要 |
実親等の同意 |
養子が満15歳未満のときは、法定 の届出のみ |
実父母の同意が必要 |
親子関係等 |
実方との親族関係は存続 |
実方との親族関係は終了 |
戸籍の記載 |
養子と明記される。 |
「養子」ではなく「長男、長女」 等と、身分事項欄に「○年○月○ 日民法第817条の2による裁判 確定」と記載される |
離 縁 |
当事者の協議で可能。養子、養親 のいずれでも訴えの提起可能 |
家庭裁判所の審判が必要。 養親からの請求不可 |
(注) 相続税法では、「法定相続人の数」の計算上、養子の数に一定の制限を設けている (相法15②)。 これは、子の
配偶者や孫、孫の配偶者を被相続人の養子として相続人の数を増や すことにより、基礎控除額や非課税限度額(生命
保険金、退職手当金)を大きくし、 相続税の税負担を回避する事例が見受けられるに至ったことから、昭和63年の税制
改正で措置されたものである。
源泉徴収の対象とされている所得の種類と範囲 |
源泉徴収税率等 |
|||
2 配当等 |
①上場株式等の配当等(特定株式投資信託の収益の分配を含 み、②~⑥を除く。また、大口株主等が受ける配当等を除く。)、 ②公募証券投資信託の収益の分配(公社債投資信託及び特定 株式投資信託を除く。)、③特定投資法人の投資口の配当等(所 法24、25、181①) |
15.315% (措法9の3①②) |
||
④公募投資信託の収益の分配(証券投資信託、特定株式投資信 託及び公募公社債等運用投資信託を除く。)、⑤公募特定受益 証券発行信託の収益の分配、⑥特定目的信託の社債的受益権 の剰余金の配当(公募のものに限る。)(措法8の4①) |
15.315% (所法182二、措法8の4、9 の3) |
|||
⑦①~⑥以外の配当等 (所法24、25、181①) |
20.42%(普通税率適用分) (所法182二 |
|||
⑧私募公社債等運用投資信託の収益の分配、⑨特定目的信託 の社債的受益権の剰余金の配当(私募のものに限る。)(所法 24、181①) |
源泉分離… 15.315% (措法8の2①、8の3①) |
|||
3 給与等 |
俸給、給料、賃金、歳費、賞与その他これらの性質を有するも の(所法28、183) |
給与所得の源泉徴収税額表 等による(所法185、186、190) |
||
4 退職手 当等 |
当等 ①退職手当、一時恩給その他これらの性質を有するもの、②社 会保険制度等に基づく一時金など(所法30、31、199、措法29の 4) |
「退職所得の受給に関する 申告書」 有…課税退職所得金額に 対して税率適用(所法 201①) 無…20.42%(所法201③) |
||
5 公的年 金等 |
①国民年金、厚生年金等、②恩給(一時恩給を除く。)、過去 の勤務に基づき使用者から支給される年金、③確定給付企業 年金など(所法35③、203の2、所令82の2) |
「扶養親族等申告書」 1 提出が可の場合 有…人的控除額等を控除 後5.105%(一定の場合 10.21%) 無…5.105%(人的控除額 の控除の適用なし) 2 提出が不可の場合 …支給金額からその25% を控除後10.21% (所法203の3) |
||
6 報酬・ 料金等 |
次に掲げる報酬・料金、契約金、賞金等(所法204、所令320、 措法41の20) ⑴原稿料、デザイン料、講演料、放送謝金、工業所有権等の 使用料、技芸・スポーツ・知識等の教授・指導科など ⑵弁護士、公認会計士、税理士等の報酬・料金 ⑶社会保険診療報酬支払基金から支払われる診療報酬 ⑷外交員、集金人、電力量計の検針人、プロ野球の選手、プ ロサッカーの選手等の報酬・料金 ⑸芸能、ラジオ放送及びテレビジョン放送の出演、演出等の 報酬・料金並びに芸能人の役務提供事業を行う者が支払を 受けるその役務の提供に関する報酬・料金 ⑹バー・キャバレー等のホステス、バンケットホステス・コ ンパニオン等の報酬・料金 ⑺役務の提供を約すること等により一時に支払われる契約 金(例えば、プロ野球選手に支払われる契約金) ⑻事業の広告宣伝のための賞金及び馬主が受ける競馬の賞金 |
1 2段階税率が適用され るもの 100万円以下の金額部分 10.21% 100万円超の金額部分 20.42% (所法205一) 2 単一税率が適用される もの 控除額控除後10.21% (所法205二、所令322) |
||
7 生命保険契約、損害保険契約等に基づく年金(所法207) |
10.21%(掛金相当額控除後) (所法208) |
|||
8 金融類 似商品 |
①定期積金の給付補塡金、②銀行法第2条第4項の契約に基 づく給付補塡金、③抵当証券の利息、④貴金属の売戻し条件 付売買の利益、⑤外貨投資口座の為替差益等、⑥一時払養老 保険等の差益(所法174三~八、209の2) |
源泉分離 …15.315% (所法209の3、措法41の 10①) |
||
9 匿名組合契約等に基づく利益の分配(所法210) |
20.42%(所法211) |
|||
10 特定口座内保管上場株式等の譲渡による所得等(措法37の11の4) |
15.315% (措法37の11の4) |
|||
11 懸賞金付預貯金等の懸賞金等(措法41の9) |
源泉分離 …15.315% (措法41の9) |
|||
12 割引債の償還差益(措法41の12) |
源泉分離 …18.378%(一部 16.336%) (措法41の12) |
|||
13 割引債の償還金に係る差益金額(措法41の12の2) |
15.315%(措法41の12の2) |
遺言書
Q1 改正の概要はどのようなものですか?
民法第968条第1項は,自筆証書遺言をする場合には,遺言者が,遺言書の全文,日付及び氏名を自書(自ら書くこ
とをいいます。)して,これに印を押さなければならないものと定めています。今回の改正によって新設される同条第2項
によって,自筆証書によって遺言をする場合でも,例外的に,自筆証書に相続財産の全部又は一部の目録(以下「財産
目録」といいます。)を添付するときは,その目録については自書しなくてもよいことになります。自書によらない財産目録
を添付する場合には,遺言者は,Q4のとおり,その財産目録の各頁に署名押印をしなければならないこととされていま
す。
Q2 財産目録はどのようなときに作成するのですか?
遺言書には,しばしば,「○○をAに遺贈する。」とか「△△をBに相続させる。」といった記載がされます。遺言者が多数
の財産について遺贈等をしようとする場合には,例えば,本文に「別紙財産目録1記載の財産をAに遺贈する。」とか「別
紙財産目録2記載の財産をBに相続させる。」と記載して,別紙として財産目録1及び2を添付するのが簡便です。このよ
うに,遺贈等の目的となる財産が多数に及ぶ場合等に財産目録が作成されることになるものと考えられます。
Q3 財産目録の形式に決まりはありますか?
目録の形式については,署名押印のほかには特段の定めはありません。したがって,書式は自由で,遺言者本人がパ
ソコン等で作成してもよいですし,遺言者以外の人が作成することもできます。また,例えば,土地について登記事項証
明書を財産目録として添付することや,預貯金について通帳の写しを添付することもできます。 いずれの場合であっても
,Q4のとおり,財産目録の各頁に署名押印する必要がありますので,注意してください。
Q4 財産目録への署名押印はどのようにしたらよいのですか?
改正後の民法第968条第2項は,遺言者は,自書によらない財産目録を添付する場合には,その「毎葉(自書によらな
い記載がその両面にある場合にあっては,その両面)」に署名押印をしなければならないものと定めています。つまり,
自書によらない記載が用紙の片面のみにある場合には,その面又は裏面の1か所に署名押印をすればよいのですが,
自書によらない記載が両面にある場合には,両面にそれぞれ署名押印をしなければなりません。 押印について特別な
定めはありませんので,本文で用いる印鑑とは異なる印鑑を用いても構いません。
Q5 財産目録の添付の方法について決まりはありますか?
自筆証書に財産目録を添付する方法について,特別な定めはありません。したがって,本文と財産目録とをステープラ
ー等でとじたり,契印したりすることは必要ではありませんが,遺言書の一体性を明らかにする観点からは望ましいもの
であると考えられます。なお,今回の改正は,自筆証書に財産目録を「添付」する場合に関するものですので,自書によ
らない財産目録は本文が記載された自筆証書とは別の用紙で作成される必要があり,本文と同一の用紙に自書によら
ない記載をすることはできませんので注意してください。
Q6 自書によらない財産目録の中の記載を訂正する場合にはどのようにしたらよいのですか?
自書によらない財産目録の中の記載を訂正する場合であっても,自書による部分の訂正と同様に,遺言者が,変更の
場所を指示して,これを変更した旨を付記してこれに署名し,かつ,その変更の場所に印を押さなければ,その効力を生
じないこととされています。
退職所得の受給に関する申告書の提出がある場合
区 分 |
課税退職所得金額 |
徴収税額 |
一般退職手当等 |
(一般退職手当等の金額-退職所得控除額)×1/2 |
税額表で求めた 金 |
短期退職手当等 |
①短期退職手当等の金額-退職所得控除額≦300万円の場 |
|
特定役員退職手当等 |
特定役員退職手当等の金額-退職所得控除額 |
ものをいう(所法30⑦)。 2 短期退職手当等とは、短期勤続年数(役員等以外の者として勤務した期間により計算した勤
続年数が5年 以下であるものをいう。)に対応する退職手当として支払を受けるものであって、特定役員退職手当等に
該 当しないものをいう(所法30④、所令69の2①)。 3 特定役員退職手当等とは、役員等勤続年数(役員等として勤務
した期間により計算した勤続年数)が5年 以下の者が、その役員等勤続年数に対応する退職手当等として支払を受け
るものをいう(所法30⑤、所令69 の2②)。 4 同じ年に一般退職手当等、短期退職手当等又は特定役員退職手当等の
うち2以上の退職手当等がある場合 は、課税退職所得金額の計算方法は異なる。
山林所得金額
山林所得は、他の所得と区分し、分離して課税される。 課税標準である「山林所得金額」は、前節で計算された「山林所
得の金額」である(所 法22③)。 すなわち、その年中の山林所得に係る総収入金額から必要経費を控除し、その残額
か ら山林所得の特別控除額を控除した金額とされている(所法22③、32③)。 山林所得は、長期間にわたって発生した
所得が、山林の伐採又は譲渡により一時に実現する所得であるから、その特性を考慮して、他の所得とは分離して別個
の課税標準とし、更に低税率((注)1参照)により税額計算をすることとされ、超過累進税率の適用 が緩和されている。
(注)1 山林所得に対する税額は、いわゆる「5分5乗方式」で計算することになっている(所法89①)。
2 所得の種類ごとに所得の金額を計算した場合に、ある種の所得の金額の計算上生じた損失の金額は、これを他 の
種類の所得の金額から差し引くことができる。これを「損益通算」という(所法69)。[第4章第7節参照]
また、その年の前年以前3年内の各年に生じた純損失の金額や雑損失の金額(令和5年4月1日以後に発生す る特定
非常災害に係る純損失の金額や雑損失の金額は、その年の前年以前5年内に生じた純損失の金額や雑損失 の金額)
は、一定の条件の下に、その年分の所得の金額と差引計算することが認められている。これを「損失の繰越控除」という
源泉徴収
支給区分 |
「扶養控 除等申告 書」の堤出 の有無 |
前月中の 給与支給 の有無 |
適用すべき税額 (税率)表 |
税額の求め方 |
|
給 料 ・ 賃 金 |
月給 |
有 |
|
「月額表」甲欄 |
社会保険料等控除後の給与等の金額、扶 |
無 |
|
「月額表」乙欄 |
社会保険料等控除後の給与等の金額、扶 |
||
日給 |
有 |
|
日額表」甲欄 |
||
無 |
「月額表」乙欄 |
「日額表」乙欄 |
|||
日雇賃金 |
|
|
「日額表」丙欄 |
||
賞 与 |
有 |
有 |
「賞与に対する 源泉徴収税額の 算出率の表」甲欄 |
|
|
無 |
有 |
「賞与に対する 源泉徴収税額の 算出率の表」乙欄 |
|||
有 |
無 |
「月額表」甲欄 |
賞与の額の6分の1(その賞与の計算の基礎 となった期間が6か月を超える場合は12分の 1)の額に対する税額を、(扶養親族等の数を 基に)月額表から求め、これを6倍(又は12倍) して賞与に対する源泉徴収税額を求める。 |
||
無 |
無 |
「月額表」乙欄 |
(注)1 税額表の給与等の金額とは、「給与等の額 - 社会保険料等」をいう(所法188)。 2 「扶養親族等の数」とは、源
泉控除対象配偶者と控除対象扶養親族との合計数をいう。 また、給与所得者本人が障害者、寡婦、ひとり親又は勤労
学生に該当する場合、同一生計配偶者又は扶養親族 が障害者である場合には、扶養親族等の実数にそれぞれ1人と
して加えて算定する(所法187)。 3 月ごと、半月ごと、旬ごと、月の整数倍の期間ごとに支払うものは月額表を、毎日、
週ごと、日割で支払うも のは日額表を使用する(所法185①)。 4 賞与の額が前月中の給与等の額の10倍を超える場
合の計算は、賞与の額の6分の1又は12分の1を、前月中の 給与等の額に上積みして行う(所法186②)。
1)納税者が、自己または自己と生計を一にする配偶者やその他の親族のために支払った医療費であること。
(2)その年の1月1日から12月31日までの間に支払った医療費であること(未払いの医療費は、現実に支払った年の医
療費控除の対象となります。)。
医療費控除の対象となる金額
医療費控除の金額は、次の式で計算した金額(最高で200万円)です。
(実際に支払った医療費の合計額-(1)の金額)-(2)の金額
(1)保険金などで補てんされる金額
(例) 生命保険契約などで支給される入院費給付金や健康保険などで支給される高額療養費・家族療養費・出産育児
一時金など
(注)保険金などで補てんされる金額は、その給付の目的となった医療費の金額を限度として差し引きますので、引きき
れない金額が生じた場合であっても他の医療費からは差し引きません。
(2)10万円
(注)その年の総所得金額等が200万円未満の人は、総所得金額等の5パーセントの金額
セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)
平成29年1月1日から令和8年12月31日までの間に、自己または自己と生計を一にする配偶者やその他の親族の特定
一般用医薬品等購入費を支払った場合において、自己がその年中に健康の保持増進および疾病の予防への取組とし
て一定の健康診査や予防接種などを行っているときは、通常の医療費控除との選択により、その年中の特定一般用医
薬品等購入費の合計額(保険金等により補填される部分の金額を除きます。)のうち、12,000円を超える部分の金額(
88,000円を限度)を控除額とするセルフメディケーション税制(特定一般用医薬品等購入費を支払った場合の医療費控
除の特例)の適用を受けることができます。
なお、セルフメディケーション税制(特定一般用医薬品等購入費を支払った場合の医療費控除の特例)の対象となる特
定一般用医薬品等の購入費については、コード1132「セルフメディケーション税制の対象となる特定一般用医薬品等購
入費」をご参照してください。
セルフメディケーション税制
この税制の適用を受けることができるのは、所得税や住民税を納めていて、かつ「健康の保持増進及び疾病の予防へ
の取組として一定の取組を行っている方」と定められています。
この一定の取り組みとは、具体的には次のような取り組みをいいます。
会社員・公務員であればほとんどの人が通常定期健康診断を受けていますので、この条件は問題なくクリアしているでし
ょう。
自営業や専業主婦の方は自分で健康診断を受ける必要があります。市区町村で、各種の健康診断を実施しており
、軽い自己負担で受けられることが多いですので、お住まいの自治体にご確認ください。
(3)家族用の医薬品も対象
購入する医薬品については、生計を一つにする家族(配偶者・子供など)の分も控除の対象です。
ここでいう「家族」の条件は生計を一つにしているかどうかですので、学生でひとり暮らしをしている子供に仕送りをしてい
るのであれば、その子が購入した医薬品も控除の対象です。子供に、対象の医薬品を購入したらレシートを保管しておく
ように伝えておくと良いでしょう。
ただし、すでに説明した健康診断等は、確定申告をする本人が受けている必要があります。
3.確定申告が必要
通常の医療費控除と同じく、セルフメディケーション税制を受けるには、自分で確定申告が必要です。
その際に、いくつかの注意点があります。
(1)年末調整では不可
セルフメディケーション制度を適用するには「確定申告」が必要です。お勤めの方は、会社での年末調整では適用で
きず、必ず自分で確定申告が必要ですので、ご注意ください。
現在では、e-Taxを利用して、自宅のパソコンやスマホでも申告が可能です。
(2)OTC医薬品のレシートを保管しておく
科 目 |
必 要 経 費 の 具 体 例 |
経費とならないもの |
租 税 公 課 |
事業税、固定資産税、自動車税、不動産取得税、 印紙税、消費税等 |
所得税、相続税、住民税、延滞税、 加算税、延滞金、過怠税 |
荷 造 運 賃 |
包装材料費、荷造人夫費、運賃等 |
|
水道光熱費 |
水道料、電気代、ガス代等 |
家事用部分の費用 |
旅費交通費 |
電車、バス、タクシー代、宿泊代等 |
家族旅行の費用 |
通信費 |
電話代、切手代等 |
家事用部分の費用 |
広告宣伝費 |
テレビ、新聞の広告費、チラシ代等 |
|
接待交際費 |
得意先への贈答費用、飲食接待費等 |
親族、隣人等との交際費 |
損害保険料 |
店舗、商品の火災保険料、自動車の任意保険料 |
住宅部分の費用 |
修繕費 |
店舗、機械器具、車両の修繕費等 |
住宅部分の費用、資本的支出 |
消 耗 品 費 |
包装材料費、事務用品、少額減価償却資産等 |
|
福利厚生費 |
従業員の健康保険料、慰安旅行費等 |
|
給 料 賃 金 |
従業員の給料、賃金、賞与等 |
自分や生計を一にする親族への 給料 |
利子割引料 |
事業用資金の借入金の利子、手形割引料等 |
元本の返済 |
地 代 家 賃 |
借地代、店舗、駐車場、倉庫の賃借料 |
住宅部分の費用 |
外 注 工 賃 |
外注加工賃、委託費等 |
|
支払手数料 |
販売手数料、支払リベート、仲介手数料等 |
|
資 産 損 失 |
事業用資産の取壊し損失、貸倒金等 |
雑損控除の対象としたもの |
減価償却費 |
減価償却資産の償却費 |
住宅部分の償却費 |
その他 |
事業上の諸雑費等 |
|
科 目 |
必 要 経 費 の 具 体 例 |
経費とならないもの |
租 税 公 課 |
事業税、固定資産税、自動車税、不動産取得税、 印紙税、消費税等 |
所得税、相続税、住民税、延滞税、 加算税、延滞金、過怠税 |
荷 造 運 賃 |
包装材料費、荷造人夫費、運賃等 |
|
水道光熱費 |
水道料、電気代、ガス代等 |
家事用部分の費用 |
旅費交通費 |
電車、バス、タクシー代、宿泊代等 |
家族旅行の費用 |
通信費 |
電話代、切手代等 |
家事用部分の費用 |
広告宣伝費 |
テレビ、新聞の広告費、チラシ代等 |
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接待交際費 |
得意先への贈答費用、飲食接待費等 |
親族、隣人等との交際費 |
損害保険料 |
店舗、商品の火災保険料、自動車の任意保険料 |
住宅部分の費用 |
修繕費 |
店舗、機械器具、車両の修繕費等 |
住宅部分の費用、資本的支出 |
消 耗 品 費 |
包装材料費、事務用品、少額減価償却資産等 |
|
福利厚生費 |
従業員の健康保険料、慰安旅行費等 |
|
給 料 賃 金 |
従業員の給料、賃金、賞与等 |
自分や生計を一にする親族への 給料 |
利子割引料 |
事業用資金の借入金の利子、手形割引料等 |
元本の返済 |
地 代 家 賃 |
借地代、店舗、駐車場、倉庫の賃借料 |
住宅部分の費用 |
外 注 工 賃 |
外注加工賃、委託費等 |
|
支払手数料 |
販売手数料、支払リベート、仲介手数料等 |
|
資 産 損 失 |
事業用資産の取壊し損失、貸倒金等 |
雑損控除の対象としたもの |
減価償却費 |
減価償却資産の償却費 |
住宅部分の償却費 |
その他 |
事業上の諸雑費等 |
|
所得の種類及び内容と所得の金額の計算方法
新契約と旧契約の双方に加入している場合の控除額
新契約と旧契約の双方に加入している場合の控除額
1. 一般の生命保険料控除の控除額
・旧生命保険料控除の年間支払保険料等の金額が60,000円を超える場合
旧生命保険料控除の年間支払保険料等の金額について 上記の「旧契約(平成23年12月31日以前に締結した保険契
約等)に基づく場合の控除額」で計算した金額(最高50,000円)
・旧生命保険料控除の年間支払保険料等の金額が60,000円以下の場合
新生命保険料控除の年間支払保険料等の金額について、上記の「新契約(平成24年1月1日以後に締結した保険契約
等)に基づく場合の控除額」で計算した金額と旧生命保険料控除の年間支払保険料等の金額について、「旧契約(平成
23年12月31日以前に締結した保険契約等)に基づく場合の控除額」で計算した金額の合計額(最高40,000円)
2. 個人年金保険料控除の控除額
・旧個人年金保険料控除の年間支払保険料等の金額が60,000円を超える場合
旧個人年金保険料控除の年間支払保険料等の金額について(2)で計算した金額(最高50,000円)
・旧個人年金保険料控除の年間支払保険料等の金額が60,000円以下の場合
新個人年金保険料控除の年間支払保険料等の金額について、上記の「新契約(平成24年1月1日以後に締結した保険
契約等)に基づく場合の控除額」で計算した金額と旧個人年金保険料控除の年間支払保険料等の金額について、「旧契
約(平成23年12月31日以前に締結した保険契約等)に基づく場合の控除額」で計算した金額の合計額(最高40,000円)。
対象者または対象物
生命保険料、介護医療保険料または個人年金保険料を支払った方
個人事業主も会社員も知っておきたい
働いて当たり前のように支払っている所得税ですが、どのように計算されているか詳しく理解している人は少ないかもし
れません。所得税の計算にはいくつかのステップがあり、今回は個人事業主や会社員向けに、具体例を交えて解説して
いきます。この記事を読むことで、毎年の確定申告でなんとなく支払っていた所得税について、少しでも理解が深まれば
幸いです。
計算方法
所得税は以下の図の6STEPで計算を行います。
出所:国税庁『所得税のしくみ』
STEP1:所得金額の計算
所得金額は、収入から経費を差し引いた金額となります。個人事業主の方は、事業所得の計算をする際に収入(売上)
から経費を差し引き、更に青色申告特別控除(要件によって65万円 or 55万円 or 10万円)を差し引きます。会社員の
方は、給与所得の計算をする際に必要経費相当額として一定の給与所得控除を差し引きます。給与所得控除について
は割愛しますが、給与所得は会社から年末に貰う源泉徴収票に記載されています。
所得金額
個人事業主:収入-経費-青色申告特別控除(65万円 or 55万円 or 10万円)
会社員:給与収入-給与所得控除
STEP2:課税所得金額の計算
STEP1の所得金額から以下の各種所得控除を差し引いて、課税所得金額を計算します。
課税所得金額
所得金額(STEP1)-所得控除
所得控除の種類(15種類) |
内容 |
雑損控除 |
災害、盗難、横領によって一定の資産について損害を受けた場合の控除 |
医療費控除 |
一定額以上の医療費を支払った場合の控除 |
社会保険料控除 |
健康保険、国民健康保険、厚生年金保険料、国民年金保険料などを支払った場合の控除 |
小規模企業共済等掛金控除 |
小規模企業共済掛金、企業型年金加入者掛金、個人型年金加入者掛金(iDeCo)を支払った場合の控除 |
生命保険料控除 |
生命保険料、介護医療保険料、個人年金保険料を支払った場合の控除 |
地震保険料控除 |
地震保険料を支払った場合の控除 |
寄附金控除 |
ふるさと納税、特定の団体に対して寄附をした場合の控除 |
障害者控除 |
本人が障害者、生計を同一にする配偶者や扶養親族のうちに障害者がいる場合の控除 |
寡婦控除 |
配偶者と離婚や死別した女性である場合の控除 |
ひとり親控除 |
婚姻をしておらず子がいるなど一定の要件を満たした場合の控除 |
勤労学生控除 |
一定の要件を満たした勤労学生である場合の控除 |
配偶者控除 |
生計を同一にする合計所得金額48万円以下の配偶者がいる場合の控除 |
配偶者特別控除 |
生計を同一にする合計所得金額133万円以下の配偶者がいる場合の控除 |
扶養控除 |
16歳以上の子供など控除対象扶養親族がいる場合の控除 |
基礎控除 |
一定の所得以下である場合の控除(所得2,400万円以下であれば48万円) |
STEP3:所得税額の計算
STEP2の課税所得金額に以下の税率をかけて所得税額を計算します。例えば、STEP2の課税所得金額が650万円の
場合、872,500円(650万円×20%-427,500円)の所得税額となります。
所得税額
課税所得金額(STEP2) × 所得税率
出所:国税庁『所得税の税率』
STEP4:基準所得税額の計算
STEP3の所得税額から税額控除(所得税額から差し引かれる金額)を差し引いて基準所得税額を計算します。税額控
除は、STEP2のような所得からの控除(所得控除)でなく、所得税額からの控除であるため節税効果が大きい控除です。
例えば、住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)や政党・認定NPO法人等に寄附をした場合の控除があります。
基準所得税額
所得税額(STEP3)-税額控除(住宅ローン控除など)
STEP5:復興特別所得税額の計算
所得税を計算する際に、STEP4の基準所得税額に2.1%をかけた金額の復興特別所得税も合わせて納付する必要があ
ります。復興特別所得税は、東日本大震災からの復興に必要な財源を確保するために導入された税金で、2013年から
2037年までの25年間導入にわたって課税されることとなっています。
復興特別所得税額
基準所得税額(STEP4) × 2.1%
STEP6:所得税の申告納税額の計算
STEP4の基準所得税額とSTEP5の復興特別所得税額から、既に給与などから天引きされている源泉徴収税額や先払
いしている予定納税を差し引いて最終的な申告納税額を計算します。源泉徴収税額や予定納税額が多く差し引けない
金額は、還付(所得税が戻ってくる)されます。
申告納税額
基準所得税額(STEP4)+復興特別所得税額(STEP5)-源泉徴収税額・予定納税額
具体例
【前提】
個人事業主Aさん(独身):売上800万円、経費150万円、青色申告特別控除65万円、社会保険料控除20万円、生命保
険料控除5万円、基礎控除48万円、住宅借入金等特別控除20万円、源泉徴収税額20万円、予定納税額なし
STEP1:所得金額の計算
800万円(収入)-150万円(経費)-青色申告特別控除65万円=585万円
STEP2:課税所得金額の計算
585万円(STEP1)-20万円(社会保険料控除)-生命保険料控除5万円-48万円(基礎控除)=512万円
STEP3:所得税額の計算
512万円(STEP2)× 20%-427,500円=596,500円
STEP4:基礎所得税額の計算
596,500円(STEP3)- 20万円(住宅借入金等特別控除)=396,500円
STEP5:復興特別所得税額の計算
396,500円(STEP4)× 2.1%=8,326円
STEP6:申告納税額の計算
396,500円(STEP4)+8,326円(STEP5)-20万円(源泉徴収税額)=204,800円(百円未満切捨)
➣個人事業主Aさんは確定申告期限である3月15日までに204,800円を納付することとなります。
最後に
所得税の計算について大まかな流れを解説しました。実際には、所得控除一つをとっても細かい要件があり複雑ですが
、イメージを掴んでいただくために、内容を簡素化して記載しています。この記事を通じて、所得税の仕組みについて少し
でも理解が深まれば幸いです。
減価償却資産 |
|
使用可能期間 |
取得価額 (1単位) |
取 扱 い |
|
① 1年未満 |
10万円未満 |
全額を必要経費とする(所令138) |
|||
② 1年未満 |
10万円以上 |
全額を必要経費とする(所令138) |
|||
③ 1年以上 |
10万円未満 |
||||
④ 1年以上 |
10万円以上 20万円未満 |
||||
⑤ 1年以上 |
20万円以上 30万円未満 |
(原則) 減価償却資産とする |
一括償却資産として取得価額の合計 額の1/3を各年の必要経費とする ことができる(選択) (所令139) |
||
⑥ 1年以上 |
30万円以上 |
中小事業者である青色申告者は取得価額 の合計額のうち300万円までを必要経費と することができる(選択) (措法28の2) |
|||
|
|
|
(注1) 使用可能期間が1年未満のものまたは取得価額が10万円未満のものは、その取得に要した金額の全額を業
務の用に供した年分の必要経費とします。
(注2) 取得価額が10万円以上20万円未満の減価償却資産については、一定の要件の下でその減価償却資産の全
部または特定の一部を一括し、その一括した減価償却資産の取得価額の合計額の3分の1に相当する金額をその業務
の用に供した年以後3年間の各年分において必要経費に算入することができます。
(注3)一定の要件を満たす青色申告者が、平成18年4月1日から令和8年3月31日までに取得した取得価額10万円以
30万円未満の減価償却資産(上記(注2)の適用を受けるものを除きます。)については、一定の要件の下でその取得価
額の合計額のうち300万円に達するまでの取得価額の合計額をその業務の用に供した年分の必要経費に算入できると
いう特例があります。
(注4)令和4年4月1日以降に取得した減価償却資産で貸付けの用に供したもの(主要な業務として行う貸付けに供
するものを除きます。)については、上記(注1)ないし(注3)の適用はありません。
(注5) 取得価額の判定に際し、消費税の額を含めるかどうかは納税者の経理方式によります。すなわち、税込経理で
あれば消費税を含んだ金額で、税抜経理であれば消費税を含まない金額で判定しま
す。なお、免税事業者の経理方式は税込経理になります。
子育て支援として、改正された内容は、おもに以下の4点です。
高校生の扶養控除縮小
ひとり親控除の拡充
生命保険料控除の拡充
住宅ローン減税の継続と拡充
それぞれ、解説します。
高校生の扶養控除縮小
令和6年の税制改正案では、高校生の扶養控除が縮小される予定です。
この変更は、児童手当の対象が令和6年12月分から高校生(16~18歳)に拡大されることに伴うものです。
児童手当と扶養控除については、以下のとおりとなります。
児童手当
第2子までは月1万円を支給
第3子以降は月3万円を支給
扶養控除
所得税の控除額:年38万円から25万円に縮小
住民税の控除額:年33万円から12万円に縮小
この変更により税負担が増加するものの、年間12万円の児童手当を加えることで、高所得者にとっての負担増は抑えら
れる見込みです。
ひとり親控除の拡充
ひとり親世帯への支援も拡充されることが決定しました。
ポイント
所得税の控除額が年35万円から38万円に、住民税では年30万円から33万円に引き上げられることが検討されています。
この措置により、ひとり親家庭の経済的な負担が軽減されることが期待されます。
生命保険料控除の拡充
子育て世帯に対するさらなる支援策も検討されています。
生命保険料控除は、支払った保険料の一部を所得から控除し、税負担を軽減する制度です。
ポイント
現在、最大12万円の所得控除上限が、子どもがいる世帯では16万円に引き上げられる見込みです。
住宅ローン減税の継続と拡充
住宅ローン減税では、新築住宅については、令和6年から借入限度額が引き下げられる予定です。
そのため、子育て世帯への経済的支援策として、以下の措置が盛り込まれました。
新築の長期優良住宅:5,000万円の現行借入限度額が1年間維持
ZEH水準省エネ住宅:4,500万円の現行借入限度額が1年間維持
省エネ基準適合住宅:4,000万円の現行借入限度額が1年間維持
子育て世帯や、夫婦どちらかが39歳以下の世帯に限り適用されます。
賃上げ促進税制
賃上げ促進税制とは、一定以上の賃上げを行った企業に対する法人税軽減措置です。
今回の税制改正では、以下の4点をポイントに拡充されました。
大企業向けの賃上げ促進税制の変更
女性活躍と子育て支援への追加優遇
中堅企業と中小企業向けの措置
赤字企業への法人税軽減繰り越し制度
大企業向けの優遇要件を厳格化する一方、賃上げ率が高い企業への支援を強化し、女性の活躍や子育て支援を行う
企業への新たな優遇措置も設けられました。
大企業向けの賃上げ促進税制の変更
大企業に対しては、賃上げ率に応じた税額控除率を以下のとおり調整しました。
従来の「3%以上」と「4%以上」の賃上げ企業に対する税額控除を、それぞれ15%と25%から10%と15%に引き下げ、
一方で「5%以上」と「7%以上」の賃上げを行う企業に対しては、新たに20%と25%の控除率を設定します。
女性活躍と子育て支援への追加優遇
女性の活躍と子育て支援に積極的な企業には、追加の控除率が適用されます。教育訓練費を増やす企業も対象で大
企業の合計控除率は最大35%になります。
中堅企業と中小企業向けの措置
新たに「中堅企業」枠が設けられました。
資本金1億円超かつ従業員数2000人以下の企業が対象で、最大35%の控除率が適用されます。
また、中小企業に対しては、改正前の制度を維持し、女性活躍と子育て支援への追加優遇により、最大45%の減税が
受けられます。
赤字企業への法人税軽減繰り越し制度
赤字で法人税が課税されない場合、これまで賃上げ税制の恩恵を受けられませんでした。
そこで、新たに法人税の軽減枠を最大5年間繰り越せる仕組みが導入されます。
中小企業を対象に、賃上げを行う企業の支援範囲を広げることが目的です。
国内生産促進税制
この制度は、戦略物資の国内生産を支援し、経済安全保障を強化することを目指しています。生産および販売量に応じ
て、法人税を10年間減税するのが主な特徴です。
減税対象となる戦略物資
「戦略分野国内生産促進税制」では、いずれも初期投資が大きく、国の支援が必要とされる以下の5項目が減税対象と
なります。
電気自動車(EV)や燃料電池車(FCV)
CO2排出量を削減した「グリーンスチール」
生物資源から作られる「グリーンケミカル」
CO2排出量が少ない航空燃料「SAF」
半導体
減税の計算方法と上限
2026年度末までに認定された事業計画に基づき、生産された各物資の量に応じて減税額が加算されます。
例えば、EVとFCVは1台につき減税額は40万円です。
減税上限は半導体の場合、法人税額の20%、その他の物資では40%と設定されています。
減税期間とその後の計画
減税は、計画が認定されてから10年間適用されます。
ただし、8年目以降は減税額が段階的に引き下げられる予定です。
この長期的な支援により、戦略物資の国内生産促進と経済の安定が図られることが期待されています。
まとめ
令和6年の税制改正を簡潔にまとめました。
所得減税と給付
物価高対策として、令和6年6月から1人あたり4万円(所得税3万円、住民税1万円)の定額減税が開始されます。
年収2000万円を超える高所得者は減税の対象外。
減税額は1人4万円で、扶養家族数に応じて増額。
低所得層と非課税世帯には一部現金給付があります。
子育て支援
高校生の扶養控除が縮小され、ひとり親世帯への支援が拡充。
生命保険料控除の拡充と住宅ローン減税の継続・拡充が予定されています。
賃上げ促進税制
大企業の賃上げ促進税制が変更され、女性活躍と子育て支援への追加優遇措置が設けられます。
中堅・中小企業に対しては、最大45%の減税が受けられます。
赤字企業への法人税軽減繰り越し制度が新設されます。
国内生産促進税制
脱炭素化と先端技術推進のため、戦略物資の国内生産を支援する新制度が創設。
電気自動車、グリーンスチール、グリーンケミカル、SAF航空燃料、半導体が減税対象。
本記事の内容は、投稿時点での税法、会計基準会社法その他の法令に基づき記載しています。
また、読者が理解しやすいように厳密ではない解説をしている部分があります。
本記事に基づく情報により実務を行う場合、専門家に相談の上行うか、十分に内容を検討の上、実行して下さい。本情
報の利用により損害が発生することがあっても、筆者及び当事務所は一切責任を負いかねますのでご了承下さい。
相続により取得した非上場株式をその発行会社に譲渡した場合の課税の特例
概要
通常、個人が所有する非上場株式をその発行会社に譲渡(金融商品取引所の開設する市場における取引等を除きま
す。)して、発行会社から対価として金銭その他の資産の交付を受けた場合、その交付を受けた金銭の額および金銭以
外の資産の価額の合計額がその発行会社の資本金等の額のうち、その交付の基因となった株式に対応する部分の金
額を超えるときは、その超える部分の金額は配当所得とみなされて所得税が課税されます。
しかし、相続または遺贈により財産を取得し、その相続または遺贈について納付すべき相続税額がある個人が、その相
続の開始があった日の翌日からその相続税の申告書の提出期限の翌日以後3年を経過する日までの間に、その相続
税の課税の対象となった非上場株式をその発行会社に譲渡した場合において、その譲渡対価の額がその譲渡した非
上場株式に係る資本金等の額を超えるときは、その超える部分の金額については、みなし配当課税を行わずに全額を
非上場株式の譲渡所得の収入金額とする特例制度があります。
この特例を適用すると、その譲渡対価の額の全額が非上場株式の譲渡所得の収入金額となり、その収入金額から取得
費および譲渡に要した費用を控除して計算した譲渡所得金額の15パーセント(注)に相当する金額の所得税が課税され
ます。
また、取得費を計算する際には、「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」の適用を併用することも可能です。(詳し
くは、コード3267「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」を参照してください。)
(注)平成25年から令和19年までは、復興特別所得税として各年分の基準所得税額の2.1パーセントを所得税と併せて
申告・納付することになります。
対象者または対象物
相続または遺贈により財産を取得し、その相続または遺贈について納付すべき相続税額がある個人
手続き
相続により取得した非上場株式をその発行会社に譲渡した場合の課税の特例
非上場株式をその発行会社に譲渡する日までに「A2-31 相続財産に係る非上場株式をその発行会社に譲渡した場合
のみなし配当課税の特例に関する届出書」を発行会社に提出する必要があります。
なお、発行会社は、譲り受けた日の属する年の翌年1月31日までに本店または主たる事務所の所轄税務署長にこの届
出書を提出する必要があります。
課税される所得と非課税所得
所得とは
「収入」と「所得」という言葉は同じ意味のように使われることがありますが、税法上、収入から必要経費を差し引いたも
の、つまり「もうけ」のことを「所得」と呼んでいます。
所得税法では、所得の種類を利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡
所得、一時所得および雑所得の10種類に分類して、それぞれの所得の内容と計算方法を定めています。
このうち雑所得とは、「他の所得のいずれにも該当しない所得」をいいますから、所得税は個人が得たすべての所得に
対して課税されるというのが原則です。
非課税所得
所得税は、納税義務者に帰属するすべての所得に対して課税することを原則としていますが、所得の中には、社会政策
その他の見地から所得税を課さないものがあります。これを非課税所得といいます。
非課税所得は、所得税法および租税特別措置法のほか、その他の法律に規定されています。
非課税所得は、所得金額の計算から除かれますから、非課税の適用を受けるための手続は原則として必要ありません。
なお、非課税所得について損失が生じても、その損失はなかったものとみなされます。
非課税所得の主なものには、次のようなものがあります。
【所得税法および租税特別措置法による主な非課税所得】 |
|
区 分 |
非課税所得の項目および内容 |
利子・配当所得関係 |
|
給与所得・公的年金関係 |
|
譲渡(山林)所得関係 |
|
その他 |
|
相続税の申告書作成手順
最大限の節税を考慮し、土地や各種財産の評価を行っています
相続税申告の中でも専門性がより発揮される土地の評価についてご紹介します。土地の評価については様々な特例や
評価減のポイントがあり、税理士が評価しても、大きく評価額が異なることがあります。
<1.机上評価>
登記簿謄本、公図、測量図、住宅地図、路線価図を元に机上で評価を行います。上記の資料をもとに、土地の形状、概
算の相続税評価額、付近の不動産相場や、周辺環境を確認し、把握します。
また、市区町村のホームページで容積率等の確認も行います。グーグルマップやストリートビューで、周辺の様子を観察
したりもします。
<2.役所調査>
机上評価を受けて、役所に赴き、調査を行います。
主に、容積率、建築制限、セットバックの確認や、境界、道路付などを確認します。
建築概要書や道路台帳などの資料を請求することもあります。
(※ 机上評価をうけて、状況次第では現地調査を先に行うこともあります。)
<3.現地調査>
まず、図面と比較し、間口や奥行きの実測を行います。
図面上での距離と実測が異なることはよくあります。
そのような場合には、現況の実測で、評価し申告を行う必要があります。
また周辺環境、土地の形状や状況により減額できる要因がないかどうかの確認を行います。
道路付が悪かったり、土地が平地でなかったり、周囲に不動産価値を下落させるような施設(騒音のする工場、墓地etc
)があったり、高圧線が上空を通っていたりなど、一般的に不動産の価値を下落させる要因がある場合には、相続税評
価においても考慮できる可能性が高くなります。
<4.最終評価>
上記、①~③の結果を受けて、最終評価を行います。
また、場合によっては不動産鑑定士の時価鑑定を行うこともあります。ほんの一例ですが、以下のような事情がある土
地は減額が行われやすいです。
● 広い(500m2以上など)青空駐車場・シャッターガレージ
● 空地、田畑や2階建以下の住宅・アパート・店舗の敷地など
● 日の当たらない土地
● 空中に高圧線が通っている土地
● 騒音、悪臭等周囲の住環境が悪い
● 土地に高低差がある
● 土地の形がいびつになっている
● 私道にしか面していない・道路に面していない等
● 土地の中の一部が私道・通路となっている
● 土壌が汚染されている
● 建物の建築が難しく、通常の用途には使用できないと見込まれる土地
● セットバックが必要な土地
● 同一敷地内で容積率が異なる
※ 机上の評価の段階で、役所調査・現地調査が必要ないと判断した場合には行わないこともあります。
この他各種財産の評価についても、相続税申告専門のノウハウを駆使し、各種財産の評価をできる限り低くし、相続税
の納付額を節税できるよう申告のお手伝いを行っております。
相続税専門ではない一般的な会計事務所に依頼するとこんなリスクが…
・現地調査や役所調査を実施しなかったために評価減ポイントを見逃してしまう
・土地の評価を下げる様々な規定を把握していないために過大評価しています
税務調査で指摘を受けないために
税務調査は、相続税申告全体の約10%に実施されます。そして、驚くべきことに調査が行われた中で約8割について申
告漏れが指摘されています。
調査で申告漏れを指摘されると本来納めるべき税金のほかに、最高で40%ものペナルティが発生します。
当初から申告しておけば払わなくてもよかった余分な税金です。申告漏れを指摘される主な内容は、預貯金の申告漏れ
です。
例えば、以下のようなものも相続財産として申告する必要があります。
1亡くなる直前に引き出した現金
2過去に相続人の口座に移動させた預金
3名義は違うけど、実質的に被相続人の財産であったもの
4生前、配偶者と財布が1つで、名義は違うけど実際はどちらの預金か分からなくなっている場合の配偶者の
インボイス制度は、すべての事業者、特に個人事業主・フリーランスの方に非常に大きな影響がある内容です。
場合によっては、取引の停止や廃業も覚悟しなければいけないくらいの、21世紀最大のピンチともいえる制度かもし
れません。
インボイス制度の概要についてわかりやすく解説します。
また、どんな影響があるのか?いつから始まるのかなど、重要ポイントも述べていきます。
1.インボイス制度とは?
「インボイス」は通称ですが、正式な名称は「適格請求書等保存方式」です。消費税に関連する制度です。
「適格請求書」というのは、消費税の税率や税額を正しく区分して記載した請求書のことです。海外では、請求書のこと
を「Invoice」とよく表現しますが、これを日本語読みして「インボイス」と呼んでいます。
とても簡単にいうと、「販売者は消費税が正しく記載された請求書を発行して、それを保存しましょう」という制度です。
請求書を発行して保存するなら、今もやっていることだと思われるかもしれませんが、従来と何が違うのかを詳しく解説し
ていきます。
(1)適格請求書とは?
請求書は、売主(販売者、受注者)が買主(発注者)に対して、いくらをいつまでに払ってくださいと書いて発行する書類です。
ただ、発行するだけならフォーマットは自由ですが、事業者が消費税の計算をするに当たって証拠となる書類ですので、
国税庁は請求書に記載すべき内容を明確に定めています。
まず、従来(2019年9月末まで)の請求書は次の項目を書けば問題ありませんでした。どれも、当たり前の内容ですね。
軽減税率の導入で区分記載請求書
2019年10月から消費税10%増税とともに、軽減税率が導入されました。消費税が8%と10%の2種類になったのです。
そうなると、どの商品(項目)がどちらの税率なのか区別する必要がありますので、請求書に記載すべき項目として、さき
ほどあげた従来の項目に対して、次の項目も追加されました。①~⑦まで記載された請求書を「区分記載請求書」とい
います。
⑥は、よくレシートなどに「※」マークが記載されていたりしますが、これは軽減税率8%であることを示す印です。
また、⑦ですが、税率が2種類ありますので、合計の税込価格も8%と10%に分けて記載する必要が生じました。
区分記載請求書のサンプルを掲載します。赤字で記した箇所が、従来の請求書との違いです。
適格請求書
さて、ここから本題ですが、上記の請求書にさらに次の項目を記載したものを「適格請求書(インボイス)」といいます(
以下、「インボイス」と記載します)。
⑧は8%/10%の税率を記載し、⑨で消費税額も記載します。
そして、一番重要なのが、⑩適格請求書発行事業者の登録番号であり、これは請求書を発行する事業者が国税庁に登
録して発行された番号のことです。ここは非常に重要なポイントですので、あとの方で詳しく解説します。
インボイスのサンプルを掲載しておきます。赤字で記した箇所が、従来(2019年9月まで)の請求書との違いです。
2023年10月1日から「インボイス」という請求書になります。今までの請求書と比較しながら、インボイス(適格請求書)…[
インボイス(適格請求書)のテンプレート(Google スプレッドシート)を用意しましたので、ぜひご利用ください。
(2)インボイス=適格請求書等保存方式
売り主が買い主に対して、上記の消費税の税率や金額が厳密に記載された「適格請求書(インボイス)」を発行し、売
り主・買い主の双方がその請求書を保存することを「適格請求書等保存方式」といいます。そして、これが、今回始
まる「インボイス制度」です。
インボイス制度が始まると、買い主が仕入税額控除(支払った消費税を控除すること)を行うためには、売り主が発行し
た「インボイス」が必要です。つまり、消費税の税率や税額が厳密に記載された請求書がないと、仕入税額控除ができな
いのです。
(3)適格請求書を発行できるのは、登録した課税事業者だけ
さて、さきほど「適格請求書(インボイス)」の記載事項の最後に「⑩適格請求書発行事業者の登録番号」と記載しました
が、必ずこの番号が必要です。
これは、請求書を発行する事業者が国税庁に登録すると払い出される番号です。法人であれば、基本的には13桁の法
人番号の頭にアルファベットの「T」がついた番号になります。登録した事業者を「適格請求書発行事業者」といいます。
ここで最も重要なポイントは、登録した「適格請求書発行事業者」になれるのは、「課税事業者」のみです。つまり、
預かった消費税から支払った消費税を差し引いて、残りの消費税を納税している事業者です。
課税売上高1,000万円以下の事業者は消費税の納税を免除されている「免税事業者」ですが、この免税事業者は「適
格請求書発行事業者」として登録できません。登録できないということは、インボイスを発行できません。
そして、インボイスを発行できないということは、買い主は、免税事業者から購入した商品・サービスに対して、仕入税額
控除ができないのです。
用語解説
課税事業者:消費税を納税する義務がある事業者のことです。多くの事業者はこちらになります。
免税事業者:年間の売上高(税込)が1,000万円以下の事業者は、消費税の納税を免除されます。つまり、販売時に預
かった消費税を納税せずに、自分の利益とすることができます。(課税事業者を選択することも可能
消費税の免税事業者と課税事業者の違いについて、また、判定フローについて、図を使ってわかりやすく解説します。課
税売上高
2.仕入税額控除とは?
まず、消費税とは商品の販売やサービスの提供などの取引に対して課される税金です。商品などを販売した際には事業
者が売り上げに応じた消費税を受け取り、消費者に代わって納税する間接税となります。
この際に事業者は仕入れや加工などの時点で消費税を含んだ支払いを行なっています。二重課税にならないように支払った消費税額は控除しなければなりません。
このことを「仕入税額控除」といいます。
例えば、販売店がテレビを10万円(税抜)で消費者に販売したとします。この時、販売店が受け取る消費税は10%ですの
で1万円となります。一方、販売店は工場からテレビを8万円で仕入れており、この際に10%の8千円の消費税をすでに
支払っています。
消費者から受け取った消費税1万円から工場に支払った消費税8千円を引いた2千円が、国と地方自治体に納付すべ
き消費税額となります。
(1)仕入税額控除できないとどうなる?
もし仕入税額控除できないとどうなるでしょうか?
上記の例の販売店で考えると、テレビの販売額(税抜)は10万円、仕入額(税抜)は8万円ですから、利益は2万円です。
一方、工場に支払った8千円の消費税を控除できないとなると、納付すべき消費税額は1万円となり、工場に支払った8
千円の消費税はこの販売店の負担になってしまいます。つまり、利益は12,000円です。
20,000円と12,000円の利益ではかなりの差です。
|
仕入税額控除できる場合 |
できない場合 |
売上 |
100,000円 |
|
仕入 |
80,000円 |
|
利益 |
20,000円 |
|
消費税の負担 |
(なし) |
8,000円 |
最終的な利益 |
20,000円 |
12,000円 |
(2)適格請求書がないと仕入税額控除できない
インボイス制度が開始すると、仕入税額控除するためには、売り主が発行した「適格請求書(インボイス)」が必須となります。
すでに解説したように、インボイスを発行できるのは、「適格請求書発行事業者」として登録された課税事業者だけです。
免税事業者は、インボイスを発行できません。
つまり、ここが超重要ポイントですが、免税事業者からの仕入れに対しては、買い主は仕入税額控除を受けること
ができません。免税事業者に支払った消費税については、すべて買い主側の負担となってしまうのです。
3.インボイス制度でどんな影響がある?
インボイス制度の導入によって、どんな影響があるのでしょうか?
買い主(仕入れ側)と売り主(納品する側)でそれぞれ影響が異なります。
(1)課税事業者である買い主への影響
まずは、買い主(仕入れ側)の視点からですが、買い主が課税事業者である場合に影響が生じます。
すでに述べたように、免税事業者はインボイスを発行できませんので、免税事業者からの仕入れに対しては、仕入税額
控除を受けることができません。
消費税の税率は10%ですから、控除ができないと利益に対して大きな影響があります。
利益を守るためには、仕入れ先を免税事業者から「適格請求書発行事業者」として登録された課税事業者に変更
する必要があります。今まで築いてきた取引関係をリセットして、新たに取引先を探すことになるかもしれず、大きな負
担となります。
(2)免税事業者である売り主への影響
次に、売り主(サービス・商品の提供側)の視点からですが、売り主が免税事業者である場合に大きな影響が生じます。
免税事業者はインボイスを発行できず、取引先が課税事業者仕入税額控除を行うことができません。
となると、取引先から取引を打ち切られる可能性が高いです。これがインボイス制度で最大の影響です。
取引自体には特に何も問題ないにもかかわらず、インボイス制度のせいで突然、取引を停止されるかもしれないのです
から、大変な問題です。
(3)個人事業主・フリーランスの方への影響
個人事業主・フリーランスの方は、ほとんどが免税事業者でしょうから、大きな影響を受ける可能性があります。
自分がサービス・商品を提供する取引先が、企業や自治体などの課税事業者である場合は、取引を停止される可
能性が高いです。
もしくは、消費税分の値引きを要求される可能性もあります。
(消費税分の値引きを要求することは違反にはなりますが、実際のところ、値引きしなければ取引を停止されるとなれば
、従わざるを得ないでしょう。)
(4)個人事業主・フリーランスで影響がない人
個人の消費者に直接販売しているのであれば、消費者はインボイスを必要としませんので、特に影響はありません。
また、取引先が免税事業者であったり、簡易課税を選択している事業者であれば、相手は仕入税額控除をする必要は
ありませんので、特に影響はありません。
たとえば、漫画家の場合、描いたマンガを課税事業者である出版社に納品している場合には、取引停止や値引きを要
求される可能性があります。一方、描いたマンガをイベント等で個人の消費者に販売しているのであれば、特に影響は
ありません。
自分と取引先が、それぞれ課税事業者か免税事業者かで影響がどうなるかをまとめておきます。
自分\相手 |
課税事業者 |
課税事業者 |
免税事業者 |
課税事業者 |
影響なし(※) |
仕入税額控除できなくなる |
|
課税事業者 |
影響なし(※) |
||
免税事業者 |
取引を停止される可能性あり |
影響なし |
※ただし、登録番号が記載された請求書を発行したり、受領した請求書の登録番号を確認する等の手間は増える。
減価償却
平成19年度税制改正により、平成19年4月1日以後に取得する減価償却資産の償却費の計算方法については、償却
可能限度額および残存価額が廃止され、1円まで償却することとされました。また定率法の計算方法についても大幅に
改正されました。
このため、平成19年4月1日以後に取得する減価償却資産の一般的な減価償却の方法である定額法と定率法による償
却費の計算方法は、次のとおりとなります。
(注)平成23年12月税制改正により、平成24年4月1日以後に取得する減価償却資産について定率法の償却率等が改
正されています。
なお、平成19年3月31日以前に取得した減価償却資産の減価償却については、コード2105「旧定額法と旧定率法によ
る減価償却(平成19年3月31日以前に取得した場合)」を参照してください。
|
定額法 |
定率法 |
特徴 |
償却費の額が原則として毎年同額となる。 |
償却費の額は初めの年ほど多く、年とともに減少する。 |
計算方法 |
取得価額×定額法の償却率 |
未償却残高×定率法の償却率(以下「調整前償却額」という。) |
(注1)資産を年の中途で取得または取壊しをした場合には、上記の金額を12で除しその年分において業務に使用して
いた月数を乗じて計算した金額になります。
(注2)償却保証額とは、資産の取得価額にその資産の耐用年数に応じた保証率を乗じて計算した金額をいいます。
(注3)改定取得価額とは、調整前償却額が初めて償却保証額に満たないこととなる年の期首未償却残高をいいます。
(注4)改定償却率とは、改定取得価額に対しその償却費の額がその後同一となるように当該資産の耐用年数に応じた
償却率をいいます。
なお、平成19年4月1日以後に取得する償却資産の償却費の計算において適用される償却率、改定償却率および保証
率は、耐用年数省令別表八、耐用年数省令別表九および耐用年数省令別表十で定められています。
計算方法・計算式
(1) 定額法
【算式】 各年の償却費の額 = 取得価額×定額法の償却率
(2) 定率法
【算式】 1年目の償却費の額 = 取得価額 × 定率法の償却率
2年目以降の各年の償却費の額
A 「調整前償却額 ≧ 償却保証額」の場合
【算式】 各年の償却費の額(調整前償却額) = 期首未償却残高 ×定率法の償却率
(注) 期首未償却残高とは取得価額から前年末までの償却費の合計額を差し引いた金額をいいます。
B 「調整前償却額 < 償却保証額」の場合
【算式】 各年の償却費の額 = 改定取得価額 × 改定償却率
(注1) 償却保証額=取得価額 × 保証率
(注2) 改定取得価額
・「調整前償却額<償却保証額」の場合は、期首未償却残高。
・連続する2以上の年において「調整前償却額<償却保証額」の場合は、最も古い年における期首未償却残高。
取得価額および法定耐用年数
減価償却資産の取得価額は、その取得の態様により異なりますが、購入した減価償却資産の取得価額は、「資産の購
入代金(引取運賃、運送保険料、購入手数料等を含む。)」と「業務の用に供するための費用」との合計額となります。
また、法定耐用年数については、減価償却資産の耐用年数等に関する省令(耐用年数省令)の別表に定められています。
限度額
平成19年4月1日以後に取得した減価償却資産について、減価償却の限度額は次のとおりです。
(1) 有形減価償却資産(坑道を除く。)または生物の取得価額から1円を控除した金額
(2) 坑道および無形固定資産の取得価額
具体例
取得価額100万円、耐用年数10年の減価償却資産についての償却費の計算は、次のとおりです。
便宜上、1年間業務に使用していたと仮定して計算しています。
定額法 |
定率法 |
|
耐用年数 |
10年 |
10年 |
償却率 |
0.100 |
0.200 |
改定償却率 |
- |
0.250 |
保証率 |
- |
0.06552 |
償却保証額 |
- |
65,520円 |
1年目の償却費の額 |
100,000円 |
200,000円 |
2年目~6年目の償却費の額 |
100,000円 |
(1,000,000-前年までの償却費の合計額)×0.200 |
7年目の償却費の額 |
100,000円 |
65,536円 |
【計算上の注意点】 |
||
8・9年目の償却費の額 |
100,000円 |
65,536円 |
10年目の償却費の額 |
99,999円 |
65,535円 |
(注)定率法の償却率等が改正されたことに伴い、以下の経過措置が講じられています。
1平成24年分においてその有する減価償却資産について定率法を選定している人が、平成24年4月1日から同年12 月
31日までの間に減価償却資産の取得をした場合には、改正前の償却率による定率法により償却費の額を計算すること
ができます。
2平成24年分においてその有する減価償却資産について定率法を選定している人が、平成24年分の確定申告期限まで
に届出をした場合には、平成24年分または平成25年分以後の各年分において、改正後の償却率により償却費の額の
計算をすることができます。
<参考事項>平成19年4月1日から平成24年3月31日までの間に取得された場合
定額法 |
定率法 |
|
耐用年数 |
10年 |
10年 |
償却率 |
0.100 |
0.250 |
改定償却率 |
- |
0.334 |
保証率 |
- |
0.04448 |
償却保証額 |
- |
44,480円 |
1年目の償却費の額 |
100,000円 |
250,000円 |
2年目~7年目の償却費の額 |
100,000円 |
(1,000,000-前年までの償却費の合計額)×0.250 |
8年目の償却費の額 |
100,000円 |
44,584円 |
【計算上の注意点】 |
||
9年目の償却費の額 |
100,000円 |
44,584円 |
10年目の償却費の額 |
99,999円 |
44,314円 |
退職金を受け取ったとき(退職所得)
退職所得とは、退職により勤務先から受ける退職手当などの所得をいい、社会保険制度などにより退職に基因して支給
される一時金、確定拠出年金法に規定する企業型年金規約または個人型年金規約に基づいて老齢給付金として支給さ
れる一時金なども退職所得とみなされます。
また、労働基準法第20条の規定により支払われる解雇予告手当や賃金の支払の確保等に関する法律第7条の規定に
より退職した労働者が弁済を受ける未払賃金も退職所得に該当します。
計算方法・計算式
所得の計算方法
退職所得の金額は、原則として、次のように計算します。
(収入金額(源泉徴収される前の金額) - 退職所得控除額) × 1 / 2 = 退職所得の金額
なお、確定給付企業年金規約に基づいて支給される退職一時金などで、従業員自身が負担した保険料または掛金があ
る場合には、その支給額から従業員が負担した保険料または掛金の金額を差し引いた残額を退職所得の収入金額とし
ます。
(注1)退職手当等が「特定役員退職手当等」に該当する場合
特定役員退職手当等(役員等勤続年数が5年以下である人が支払を受ける退職手当等のうち、その役員等勤続年数に
対応する退職手当等として支払を受けるもの)については、退職金の額から退職所得控除額を差し引いた額が退職所
得の金額になります(上記計算式の2分の1計算の適用はありません。)。
「役員等勤続年数」とは、退職金等に係る勤続期間のうち、役員等として勤務した期間の年数(1年未満の端数がある場
合はその端数を1年に切り上げたもの)をいいます。
「役員等」とは次のイからハに掲げる人をいいます。
イ 法人の取締役、執行役、会計参与、監査役、理事、監事および清算人ならびにこれら以外の者で法人の経営に従
事している一定の者
ロ 国会議員および地方公共団体の議会の議員
ハ 国家公務員および地方公務員
(注2)退職手当等が「短期退職手当等」に該当する場合
短期退職手当等(短期勤続年数に対応する退職手当等として支払を受けるものであって、特定役員退職手当等に該当
しないもの)については、退職金の額から退職所得控除額を差し引いた額のうち300万円を超える部分については、上
記計算式の2分の1計算の適用はありません。
「短期勤続年数」とは、役員等以外の者として勤務した期間により計算した勤続年数が5年以下であるものをいい、この
勤続年数については役員等として勤務した期間がある場合、その期間を含めて計算します。
退職所得控除額の計算方法
退職所得控除額は、次のように計算します。
退職所得控除額の計算の表 |
|
勤続年数(=A) |
退職所得控除額 |
20年以下 |
40万円 × A |
20年超 |
800万円 + 70万円 × (A - 20年) |
(注1)障害者になったことが直接の原因で退職した場合の退職所得控除額は、上記の方法により計算した額に、100万
円を加えた金額となります。
(注2)前年以前に退職金を受け取ったことがあるときまたは同一年中に2か所以上から退職金を受け取るときなどは、
控除額の計算が異なることがあります。
(例1)勤続年数が10年2か月の人の場合の退職所得控除額
勤続年数は11年になります。
(端数の2か月は1年に切上げ)
40万円×(勤続年数)=40万円×11年=440万円
(例2)勤続年数が30年の人の場合の退職所得控除額
800万円+70万円×(勤続年数-20年)=800万円+70万円×10年=1,500万円
税額の計算方法
退職所得は、原則として他の所得と分離して所得税額を計算します。
(1)「退職所得の受給に関する申告書」を提出している人
退職金等の支払者が所得税額および復興特別所得税額を計算し、その退職手当等の支払の際、退職所得の金額に応
じた所得税等の額が源泉徴収されるため、原則として確定申告は必要ありません。
ただし、医療費控除や寄附金控除の適用を受けるなどの理由で確定申告書を提出する場合は、確定申告書に退職所
得の金額を記載する必要があります。
(2)「退職所得の受給に関する申告書」を提出していない人
退職金等の支払金額の20.42パーセントの所得税額および復興特別所得税額が源泉徴収されますが、受給者本人が
確定申告を行うことにより所得税額および復興特別所得税額の精算をします。
(注)平成25年1月1日から令和19年12月31日までの間に支払を受ける退職手当等については、所得税とともに復興特
別所得税が課されます。
【資産損失の取扱いの概要】
資産の 種 類 |
損失の 発生事由 |
損 失 の 取 扱 い |
翌年以後の繰越し |
損失の評価 |
事業用 固定資産 |
取壊し、除去、 滅失、その他 の事由 |
損失の生じた日の属する 年分の不動産所得、事業所得 又は山林所得の金額の計算 上、必要経費に算入される (所法51①)。 |
被災事業用資産 の損失は青色申告 者以外の者であっ ても翌年以降3年 間繰越し、控除さ れる(所法70②) |
1 その資産の取 得価額等からそ の損失の基因た る事実の発生直 後におけるその 資産の価額及び 発生資材(例えば 廃材等)の価額の 合計額を控除し た残額に相当す る金額 ((所令142、143、178) 2 保険金、損害賠 償金等で補填さ れる部分の金額 は除かれる。 |
事業以外 の業務用 資産 |
災害、盗難、横 領以外の事由 |
損失の生じた日の属する 年分の不動産所得又は雑所 得の金額を限度として、必要 経費に算入される(所法51 ④)。 |
||
山林 |
災害、盗難、横 領 |
|||
生活に通 常必要で ない資産 |
災害、盗難、横 領 |
損失の生じた日の属する 年分又はその翌年分の譲渡 所得の金額の計算上控除す べき金額とみなされる(所法 62)。 |
損益通算、繰越 控除なし) |
|
事業以外 の業務用 資産 |
災害、盗難、横 領以外の事由 |
損失の生じた日の属する 年分の不動産所得又は雑所 得の金額を限度として、必要 経費に算入される(所法51 ④)。 |
||
災害、盗難、横 領 |
|
(損益通算、繰越 控除なし) |
||
その他の 資産 |
災害、盗難、横 領 |
雑損控除の対象(所法72 ①)。 ただし、「事業以外の業務 用資産」の損失については、 「災害、盗難、横領以外の事 由」の場合に準ずる取扱いを 選択することもできる。 |
翌年以降3年間 繰越し、控除され る(所法71)。 |
1 損失の生じた日 の時価又は原価 (簿価)により計 算する(所令206 ③)。 2 保険金、損害賠 償償金等で補填さ れる部分の金額は 除かれる。 |
公的年金等の課税関係
公的年金等は、年金の収入金額から公的年金等控除額を差し引いて所得金額を計算します。
この雑所得となる主な公的年金等は、次のものです。
(1) 国民年金法、厚生年金保険法、公務員等の共済組合法などの規定による年金
(2) 過去の勤務により会社などから支払われる年金
(3) 確定給付企業年金法の規定に基づいて支給を受ける年金
(4) 外国の法令に基づく保険または共済に関する制度で(1)に掲げる法律の規定による社会保険または共済制度に
類するものに基づいて支給を受ける年金
なお、生命保険契約や生命共済契約に基づく年金、互助年金などは公的年金等には該当しません。
公的年金等からの源泉徴収
公的年金等の支払を受けるときは、原則として収入金額からその年金に応じて定められている一定の控除額を差し引
いた額に5.105パーセントを乗じた金額が源泉徴収されます。
(注) 平成25年1月1日から令和19年12月31日までの間に生ずる所得については、所得税とともに復興特別所得税が
源泉徴収されます。
計算方法・計算式
公的年金等に係る雑所得の金額は、上記概要のとおり、年金の収入金額から公的年金等控除額を差し引いて所得金
額を計算しますが、具体的には下記の表の年齢の区分および「(a)公的年金等の収入金額の合計額」に対応した「(b)公
的年金等に係る雑所得の金額」の計算式を使って算出します。
「土地の無償返還に関する届出書」を提出した土地の相続税評価額
1.土地の無償返還に関する届出書とは
社長(会社オーナー)が自分の会社に土地を無償で貸すと、会社は借地権(建物を建てるために土地を借りる権利)を無
償でもらったことになり税金がかかります。
これを借地権の認定課税といいます。
借地権の認定課税を回避するには、いくつか方法があります。
会社が権利金や相当の地代として借地権の対価を社長に支払えば、借地権の認定課税を回避することができます。し
かし、社長が個人の資産を無償で貸し出すことに対して、会社が権利金や割高な地代を支払うことは理屈に合わないと
の意見もあります。
税務署に「土地の無償返還に関する届出書」を提出すれば、権利金や割高な地代を支払うことなく借地権の認定
課税を回避することができます。「土地の無償返還に関する届出書」は、将来、会社が社長に土地を無償で返すことを
税務署に約束する書面です。
2.土地の無償返還に関する届出書の注意点
借地権の認定課税を回避するために土地の無償返還に関する届出書を提出するときは、次のような点に注意が必要で
す。
これからそれぞれの注意点について詳しくお伝えします。
2-1.【注意点1】個人どうしの賃貸借では効力がない
土地の無償返還に関する届出書は、法人税法で定められた書面です。
したがって、借主または貸主のいずれか一方が法人でなければ提出することができません。
個人どうしの賃貸借では、「使用貸借に係る土地についての相続税及び贈与税の取扱いについて」という通達(使用貸
借通達)により、借地権の認定課税が避けられることになっています。
2-2.【注意点2】届出書は遅滞なく税務署に提出する
土地の無償返還に関する届出書は、貸主(社長)と借主(会社)の連名で貸主の所轄税務署に2部提出します。このう
ち1部は借主の所轄税務署に送られます。
このほか貸主と借主の控えも作成しておきます。
これらの控えは、税務署への提出時に収受印をもらって各自で保管します。
届出書の冒頭部分では「借地権の設定等」と「使用貸借契約」のいずれかを選択することになっていますが、「借地
権の設定等」を選択します。「使用貸借契約」を選択すると、貸主が死亡したときに土地の相続税評価額が高くなってし
まいます。
届出書の提出期限について、規定では「遅滞なく」とだけ定められています。実際には契約を締結した年度の法人税
の確定申告期限までに提出すればよいでしょう。
届出書の提出期限についてのさまざまな解釈
土地の無償返還に関する届出書は、遅滞なく提出することが定められているだけで具体的な提出期限はありません。こ
ういったあいまいな規定のため、届出書を提出するタイミングについてはさまざまな解釈が可能になっています。
2-3.【注意点3】土地を無償で返還することを契約書に明記する
土地の無償返還に関する届出書を提出するときは、土地の賃貸借契約書を添付します。
賃貸借契約書には、次の文例のように契約解除のときに土地を無償で返還することを明記しなければなりません。
第○条 本契約を解除するときは、借主は貸主に本件土地を無償で返還するものとする。その際、借主は貸主に対して
借地権、立退料等いかなる名目においても対価を求めないものとする。
2-4.【注意点4】地代は無償にしない
土地の無償返還に関する届出書を提出すると、地代を無償にしても借地権の認定課税を回避することができます。ただ
し、地代を無償または固定資産税程度の金額にすると、土地の相続税評価額が高くなってしまいます。
相続税には小規模宅地等の特例があり、同族会社に貸した土地の評価額は最大80%減額できます。相続税の節税に
大きく役立つ制度ですが、対価を得て賃貸していない場合には適用することができません。
小規模宅地等の特例を適用するためには、地代を固定資産税のおおむね2、3倍の金額に設定するようにしましょ
う。
設定した地代が相当の地代(年間で地価の6%)を下回っていても、会社への実質的な課税はありません。実際の地代
が相当の地代を下回る場合は差額が会社の受贈益になりますが、同額が支払地代として損金に算入されるからです。
3.土地の無償返還に関する届出書を提出した土地の相続税評価額
土地の貸主である社長が死亡して相続が発生した場合は、相続税の申告が必要になります。
土地の無償返還に関する届出書を税務署に提出した土地については、自用地評価額の80%で価額を評価します(自
用地評価額とは賃貸しないで自分で使用する場合の評価額のことです)。
土地の無償返還に関する届出書を提出した土地の相続税評価額=自用地評価額×80%
土地の無償返還に関する届出書を提出した場合は、将来無償で土地を返還することが約束されていて、借地権に価値
はありません。ただし、実際には借主が土地を使用していることを考慮して、自用地評価額より低い価額で評価します。
一方、相続税の申告では、借主である会社の株式の評価も必要になります。会社の株式を評価するときは、自用地評
価額×20%(土地の評価でマイナスした部分)を会社の純資産価額に加算します。
オーナー企業の株式の評価方法については、「「類似業種比準方式」による非上場株式の評価を分かりやすく解説」を
参照してください。
4.土地評価を含め相続対策のご依頼なら
ここまで、土地の無償返還に関する届出書の概要と、届け出をした土地の相続税評価額の計算方法をご紹介しました。
社長が会社に土地を無償で貸し出す場合は、土地の無償返還に関する届出書を税務署に提出することで、借地権の認
定課税を避けることができます。この場合、地代を無償にしないで適切な価格に設定することで相続税を節税することも
できます。
オーナー企業への土地の貸付では、契約内容が法人税だけでなく相続税にも影響するため注意が必要です。相続税に
詳しい税理士にも相談するとよいでしょう。
譲渡所得の区分 |
計算方法 |
|||||
|
|
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所得金額 |
分離課税 |
短期譲渡 |
一般分 |
66 |
平成30年1月1日以後に取得した土地や建物などの一般の譲渡 |
課税短期譲渡所得金額×所得税30%(他に住民税9%) |
軽減分 (注1) |
67 |
平成30年1月1日以後に取得した土地などを国や地方公共団体に譲渡した場合の特例(措置法32条3項) |
課税短期譲渡所得×所得税15%(他に住民税5%) |
|||
長期譲渡 |
一般分 |
68 |
平成29年12月31日以前に取得した土地や建物などの一般の譲渡 |
課税長期譲渡所得金額×所得税15%(他に住民税5%) |
||
特定分 (※2) |
69 |
平成29年12月31日以前に取得した土地などを優良住宅地地の造成等のために譲渡した場合の特例(措法31条の2) |
1.長期譲渡所得が2,000万円以下のとき 課税長期譲渡所得×所得税10%(他に住民税4%) 2.課税譲渡所得金額が2,000万円を超えるとき (課税長期譲渡所得金額-2,000万円)×所得税15% (他に住民税5% )+600万円(住民税の場合は80万円) |
|||
軽減分 (※3) |
70 |
平成24年12月31日以前に取得した自分の居住用の建物やその敷地などを譲渡した場合の特例(措法31条の3) |
1.課税長期譲渡所得金額が6,000万円以下の時 課税長期譲渡所得金額×所得税10% (他に住民税4%) 2.課税長期譲渡所得金額が6,000万円を超えるとき (課税長期譲渡所得金額-6,000万円を超えるとき (課税長期譲渡所得金額-6,000万円)×所得税15%(他に住民税5%)+600万円(住民税の場合は200万円) |
※1「軽減分」とは土地の譲渡で短期譲渡所得となるもののうち、国や地方公共団体への譲渡及び収用等による譲渡な
どによる所得をいいます。
※2「特定分」とは土地等の譲渡で長期譲渡所得となるもののうち国や地方公共団体への譲渡、収用等による譲渡。優
良な建物を建築する者に対する譲渡及び優良な住宅地の造成を行う者に対する譲渡などによる所得をいいます。なお、
この軽減税率の特例は、収用等により土地等が買い取られた場合の5,000万円の特別控除の特例などを適用した場合
には、重ねて適用することはできません。
※3.所有期間が10年を超える居住用財産の譲渡による所得をいいます。(36ページ参照)譲渡所得のあらまし
年金制度改正
令和6年4月分(6月14日(金曜)支払分)からの年金額
法律の規定により、令和5年度から原則2.7%の引き上げとなります。
なお、令和6年5月分以降の年金額が全額支給停止となる方などは、5月15日(水曜)にお支払いします。
|
令和6年度(月額) |
令和5年度(月額) |
国民年金(老齢基礎年金(満額))※1 |
68,000円 |
66,250円 |
厚生年金(夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額)※2 |
230,483円 |
224,482円 |
令和6年度の年金額の例(昭和31年4月2日以後生まれの方の場合) |
※1 令和6年度の昭和31年4月1日以前生まれの方の老齢基礎年金(満額)は、月額67,808円です。
※2 平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)43.9万円)で40年間就業した場合に受け取り始める年金(老齢
厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額))の給付水準です。
年金生活者支援給付金の支給金額
年金生活者支援給付金の給付基準額は、物価の変動に応じて、毎年度改定を行う仕組みとなっており、令和6年度は
令和5年度から3.2%の増額改定となります。
また、老齢年金生活者支援給付金の支給金額は、国民年金保険料免除期間を有する場合に、老齢基礎年金額の引き
上げに伴う改定(増額)も行われます。
令和6年度(月額) |
令和5年度(月額) |
|
老齢年金生活者支援給付金 |
5,310円※1 |
5,140円 |
障害年金生活者支援給付金 |
1級 6,638円※2 2級 5,310円※2 |
1級 6,425円 2級 5,140円 |
遺族年金生活者支援給付金 |
5,310円※3 |
5,140円 |
支援給付金の給付基準額 |
※1 基準額であり、実際の金額は保険料納付済期間や保険料免除期間等に応じて算出されますので、支給金額は3.2
%の増額とならない場合があります。算出方法は「老齢(補足的老齢)年金生活者支援給付金の概要」をご参照ください。
※2 障害年金の等級に応じて給付基準額が異なります。
2024年10月29日 16時50分年金
「ここまで少ないのかって思いました。正直、生活できません」短大卒業後に就職し、厚生年金保険料を25年以上納めて
きたという
40代の女性。それでも年金の見込み額が月11万円ほどだとわかりました。ことし国が公表した「財政検証」で明らかにな
った、男女の年金の格差。今年度50歳になる人が将来受け取る年金の見込み額(平均)は、男性が14万1000円に対し
て、女性は9万8000円と10万円を下回っています。
NHKで女性の年金に関するアンケートを行ったところ、300を超える回答がありました。多かったのが“私の年金は大丈
夫なのか?”という現役世代からの不安の声。
悩みを抱える女性たちへの取材から、年金が少なくなる要因と対策を考えます。
(社会番組部ディレクター 山内沙紀 / 首都圏局ディレクター 立花江里香 / 福島局ディレクター 森紗和子)※記事の最
後に専門家からのアドバイスも掲載しています。
正社員で働いていても年金は月11万円「独身で、正社員ではあるが給料も少なく、年金をもらえるようになった時、衣
食住をまかなえない」声を寄せたひとり、中国地方に暮らす40代の佐々木瞳さん(仮名)です。母親の介護をしながら、
地元企業で正社員の事務職として働いています。10年以上勤めてきましたが、ほとんど給料は上がらず基本給は14万
円台。母親の国民年金4万円ほどとあわせて何とか生活しているといいます。今の職場に勤めるまでも、企業の事務や
臨時職員などで働き、社会保険料は25年ほど納めてきました。しかし、将来受け取る年金の見込み額を「ねんきんネット
」で調べたところ11万円ほどだとわかり、不安を募らせています。
佐々木瞳さん
「これだけ給料が低いってことは、もらえる年金が少ないというのはわかっていたので…でも、ここまで(少ないのか)って
思いました。自分の生活費は今でもマイナスの状態なんです。母親の介護がなくなったとしても、自分にかかるお金とい
うのはこれから病気もするだろうし、正直、独り身だったら生活できません」
男性に比べて女性の年金が低くなる大きな要因の一つは、公的年金制度の“二階部分”、厚生年金にあります。
国民年金は20歳以上で60歳未満のすべての人が加入しますが、厚生年金は会社員や公務員が加入し、収入が高いほ
ど受給額が増えていく仕組みです。
賃金が低いと納める社会保険料(厚生年金保険料、健康保険料、介護保険料)が下がり、その分受け取る厚生年金も
少なくなります。女性は、男性に比べて昇進・昇給の機会が少ない傾向にあり、賃金が低く抑えられ、それが老後にも影
響するのです。年収240万円ほどの佐々木さんの場合も厚生年金の部分の見込額が4万3000円にとどまっています。
節約のため1日1食の日も…佐々木さんは少しでも支出を減らすため、食事の回数を減らし1日に夕食のみのときもあ
るといいます。収入をあげようと転職を考えていますが、要介護3の母親にはリハビリの付き添いが必要で働き方に制約
があります。足腰が弱くなった母親はリハビリに通っているさらに数年前に自宅で倒れてからは、仕事のある日も休憩時
間にいったん家に帰り、母親の様子を確認して昼食を食べさせて戻ってくる生活をしています。
ら近い勤務先で、残業がなく、休暇も柔軟にとれることを条件にすると、今よりも収入の高い職場を探すことは難しいと感
じています。佐々木さん「今、定時に帰らせてもらっているので、いくら給料が低くても(今の職場に)いるしかないのかな
…。事務職は女性が多いんですけど、管理職にあがるのは男性ばかり。あとから入った若い男性には(昇進の)声がか
か
っても、女性は何をしても認めてもらえない。単身の女性の場合、今の生活も老後のことも一人でまかなっていくことを念
頭に置いてもらえてないのかなって思います」離婚も女性の低年金リスクに介護の負担や賃金格差に加え、「離婚」も
女性の年金が低くなるリスクのひとつです。いま年金を受け取っている人の中で、「離婚」をした女性の63%が月10万円
未満だといいます。NHKのアンケートにも、離婚した後の老後に不安を募らせる声が寄せられました。「25年間の婚姻期
間中は国民年金だけ。日本の年金制度は夫婦ありきです。(夫の)年金分割をしましたが、私の年金に3万円ほど加算さ
れるだけです。将来助けてもらえるのでしょうか」(宮崎県50代女性)「週5日働いているけどパート扱いで厚生年金に入
れず。シングルマザーで生活が苦しく国民年金の支払いも免除されていたので、年金定期便が届いて目を通すともらえ
る金額が最低限に近く、理不尽です」(東京都40代女性)
アンケートに声を寄せた50代の中田美沙さん(仮名)も、そうしたひとりです。
中田美沙さん「離婚して一生懸命働いてきました。残業などが多いと子育てが十分にできないため転職もしてきました
ので、現在、30年前と手取り額はほとんど変わりません」
専門学校を卒業してから20代で結婚し、離婚後は2人の子どもを育ててきた中田さん。
公務員や非正規の仕事を経て、今は保険会社で正社員として働いています。入社してから給料はほとんど横ばいで年
収300万円ほど。65歳まで働けますが、給料は下がる見込みです。
しかし今回の年金の推計値で、女性個人の年金額を試算すると、特に40代と50代の女性は平均で月10万円を下回るこ
とがわかったのです。単身で働いていない65歳以上の人の1か月の消費による支出はおよそ15万円。(総務省「家計調
査」2023)毎月5万円ほど足りない計算になります。ニッセイ基礎研究所 準主任研究員 坊美生子さん「月10万円未
満の年金で生活する場合、単身で他に収入がなければ、いわゆる“相対的貧困”の状態に相当します。年金制度ができ
たのは60年以上前で、そのころとは社会の状況が大きく変わっています。単身世帯の増加や働き方の変化など、女性
の生き方が多様化するなかで、女性個人としてのリスクが顕在化したと考えています」非正規からキャリアアップを目
指しても「会社員の夫と、専業主婦のモデル世帯」から、女性が働き続ける社会へと変化するなか、はざまに置かれた
のが今の40代から50代の女性たちです。非正規雇用の増加や就職氷河期などを背景に、失業や転職を繰り返した単
身女性からも不安の声が多く寄せられました。「氷河期世代で、格差を自己責任と認知させられ本当に生きづらい。非正
規雇用なので、何の仕事ができるのか、雇ってもらえるのか、住まいはあるのかなどなどを思うと、正直、長生きしたいと
思えません」(東京都50代女性)
贈与者が贈与をした年に死亡した場合の贈与税および相続税の取扱いは、受贈者の態様により次のようになります。
相続時精算課税の適用を受けている者(相続時精算課税の適用を受けようとする者を含みます。)
(1) 死亡した年の相続時精算課税の適用分の贈与財産の贈与税の取扱い
相続税の課税の対象となることから贈与税の申告は不要です。
この場合、その死亡した贈与者からの贈与につき初めて相続時精算課税の適用を受けようとするときは、被相続人の
住所地を所轄する税務署に一定の手続が必要です(コード4302「贈与者が贈与した年の中途に死亡した場合の相続時
精算課税の選択」を参考にしてください。)。
(2) 相続税の取扱い
相続財産の価額に相続時精算課税の適用を受けた贈与財産(「相続時精算課税適用財産」といいます。)の贈与時の
価額(令和6年1月1日以後の贈与により取得した相続時精算課税適用財産については、贈与を受けた年分ごとに、相
続時精算課税適用財産の贈与時の価額の合計額から相続時精算課税に係る基礎控除額を控除した残額)を加算して
相続税額を計算します。
上記以外の者(相続時精算課税の適用を受けていない者)
(1) 死亡した年の贈与財産の贈与税の取扱い
イ 相続財産を取得する場合は、贈与税ではなく相続税の課税の対象となりますので、贈与税の申告は不要です。
ロ 相続財産を取得しない場合には、贈与税の課税の対象となります(贈与税の暦年課税に係る基礎控除額を超える
場合には申告と納税が必要となります。)。
(2) 相続税の取扱い
相続財産を取得する場合には、被相続人から加算対象期間内(被相続人の相続開始日が令和8年12月31日以前の場
合は、加算対象期間は相続開始前3年以内となります。詳しくは、コード4161「贈与財産の加算と税額控除(暦年課税)」
をご覧ください。)に暦年課税に係る贈与により取得した財産の価額を相続税の課税価格に加算して相続税額を計算し
ます。
根拠法令等
贈与財産の加算と税額控除(暦年課税)
相続、遺贈や相続時精算課税に係る贈与(「相続等」といいます。)によって財産を取得した人(※)が、被相続人から加
算対象期間(注)に暦年課税に係る贈与によって取得した財産があるときは、その人の相続税の課税価格にその財産
の贈与時の価額を加算します。具体的な計算については、下記の「計算方法・計算式」をご覧ください。
※ 被相続人から相続や遺贈により、租税特別措置法第70条の2の2第12項第1号(直系尊属から教育資金の一括贈
与を受けた場合の贈与税の非課税)および租税特別措置法第70条の2の3第12項第2号(直系尊属から結婚・子育て
資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税)に規定する管理残額以外の財産を取得しなかった人(相続時精算
課税に係る贈与によって財産を取得している人を除きます。)は含まれません。
(注) 加算対象期間とは、相続税の課税価格に加算される暦年課税に係る贈与の対象期間をいいます。令和6年1月1
日以後の暦年課税に係る贈与により取得した財産については、その加算対象期間が相続開始前7年以内となります。
具体的な被相続人の相続開始日に応じた加算対象期間は、次の表のとおりです。
被相続人の相続開始日 |
加算対象期間 |
~令和8年12月31日 |
相続開始前3年以内(死亡の日からさかのぼって 3年前の日から死亡の日までの間) |
令和9年1月1日~令和12年12月31日 |
令和6年1月1日から死亡の日までの間 |
令和13年1月1日~ |
相続開始前7年以内(死亡の日からさかのぼって 7年前の日から死亡の日までの間) |
なお、その加算された贈与財産の価額に対応する贈与税の額は、加算された人の相続税の計算上控除されることにな
ります。
加算される価額の基になる贈与財産の範囲と控除する贈与税額は次のとおりです。
加算する贈与財産の範囲
被相続人から生前に暦年課税に係る贈与によって取得した財産のうち加算対象期間内に贈与されたものです。加算対
象期間内に贈与されたものであれば贈与税がかかったかどうかに関係なく加算します。
したがって、基礎控除額110万円以下の贈与財産や死亡した年に贈与されている財産の価額も加算することになります。
加算しない贈与財産の範囲
被相続人から生前に贈与された財産であっても、次の財産については加算する必要はありません。
(1) 贈与税の配偶者控除の適用を受けているまたは受けようとする財産のうち、その配偶者控除額に相当する金額
(2) 直系尊属から贈与を受けた住宅取得等資金のうち、非課税の適用を受けた金額
(3) 直系尊属から一括贈与を受けた教育資金のうち、非課税の適用を受けた金額
(上記の金額のうち、贈与者死亡時の管理残額については、相続等により取得したものとみなして、相続税の課税価格
に加算される場合があります。)
(4) 直系尊属から一括贈与を受けた結婚・子育て資金のうち、非課税の適用を受けた金額
(上記の金額のうち、贈与者死亡時の管理残額については、相続等により取得したものとみなして、相続税の課税価格
に加算される場合があります。)
控除する贈与税額
控除する贈与税額は、相続税の課税価格に加算された贈与財産に係る贈与税の税額です。ただし、加算税、延滞税、
利子税の額は含まれません。具体的な計算については、下記の「計算方法・計算式」をご覧ください。
※ 相続時精算課税の適用を受けている者の贈与財産の価額の加算と税額控除については、コード4103「相続時精算
課税の選択」をご覧ください。
対象者
相続等により財産を取得した人で、その相続等に係る被相続人から加算対象期間内に暦年課税に係る贈与によって財
産を取得した人
計算方法・計算式
(1) 相続税の課税価格に加算する金額
加算対象となる贈与財産の贈与時の価額を相続税の課税価格に加算します。
(注) 相続開始の日が令和9年1月2日以後の場合には、加算対象期間内に取得した財産のうち相続開始前3年以内
に取得した財産以外の財産については、その財産の贈与時の価額の合計額から総額100万円までは相続税の課税価
格に加算されません。
(2) 相続税額から控除する贈与税額
加算対象となる贈与財産について課せられた贈与税がある場合には、その相続税額からその贈与税額に相当する金
額を控除します。控除する贈与税額は、贈与のあった年分ごとに、次のとおり計算します。
イ 被相続人から暦年課税に係る贈与によって特例贈与財産(詳しくは、コード4408「贈与税の計算と税率(暦年課税)」
をご覧ください。)を取得した場合
A |
× |
C |
B |
A・・・その年分の特例贈与財産に係る贈与税額(贈与税の外国税額控除前の税額です。)
B・・・その年分の特例贈与財産の価額の合計額
C・・・その年分の特例贈与財産の価額の合計額のうち相続税の課税価格に加算された特例贈与財産の価額
ロ 被相続人から暦年課税に係る贈与によって一般贈与財産(詳しくは、コード4408「贈与税の計算と税率(暦年課税)」
をご覧ください。)を取得した場合
A |
× |
C |
B |
A・・・その年分の一般贈与財産に係る贈与税額(贈与税の配偶者控除後および贈与税の外国税額控除前の税額です。)
B・・・その年分の一般贈与財産の価額の合計額
C・・・その年分の一般贈与財産の価額の合計額のうち相続税の課税価格に加算された一般贈与財産の価額
不動産の相続税はいくら?手続き・計算方法・相続税対策を徹底解説
相続税が課税されるご家庭において、その相続財産額の多くを占めているのが不動産です。
不動産は高額であることに加えて、預金や有価証券と違って、そもそも「いくら」の財産になるのかがわかりにくいという
特徴があるため、不動産の相続にあたって不安に感じる方も少なくないでしょう。
本記事では、そもそも相続税はどのような仕組みで課税されるのか、その中で不動産はどのように評価されるのかとい
う点から、その評価額を減額する方法まで解説していきます。
1.不動産の相続でかかる税金
不動産を相続した人に、相続の時点でかかる税金は、大まかにいうと、「相続税」「登録免許税」です。
また、相続ではなくて遺言で財産を指定して与える行為(「特定遺贈」といいます)により、相続人以外の人が不動産を取
得した場合には、「不動産取得税」も課せられます。
さらに、相続した不動産を相続人が所有し続ければ、毎年「固定資産税」がかかります。
一方、相続した不動産を売却すれば、譲渡所得に応じた「所得税」「住民税」「復興特別所得税」が課せられます。
まとめると、不動産の相続等での取得に関係する税金は、下記のようなものがあります。
【取得時】
相続税
登録免許税
不動産取得税(相続人以外への特定遺贈(財産を指定する遺贈)の場合)
【所有期間中】
固定資産税、都市計画税
【売却時】
所得税
住民税
復興特別所得税
本記事では、このうち、もっとも金額が大きくなり、高い関心が持たれる相続税を中心に解説していきます。なお、記事の
後半で、固定資産税や登録免許税についても簡単に触れます。
2.不動産の相続税、税率はどのように求めるのか
自宅、あるいは投資用物件などの不動産を所有している人や、そのご家族は、「将来、相続になったとき、この家にはど
れくらいの相続税がかかるのだろうか?」と考えたことがあるかもしれません。
例えば、エリアにもよりますが、東京の区部なら、庭付き一戸建て住宅やタワーマンションなら1億円超、ファミリータイプ
のマンションでも、5,000万円から1億円程度の中古価格で取引されていることは珍しくありません。
そういった価格を目にして、「うちの家の相続税も、かなり高くなってしまうのではないか。いったい、いくらになるのだろう
」と考えてしまうのは、自然なことでしょう。
2-1.「不動産だけ」の相続税や税率は計算できない
しかし、実は、不動産だけの相続税や税率は計算できないのです。
相続税は、被相続人(亡くなった人)が所有しているすべての財産の権利・義務を相続財産(遺産)として、さらに、それ以
外の一定の財産(みなし相続財産と呼ばれるものなど)を加減して、そのすべての相続財産をまとめて課税計算の対
象とする仕組みだからです。
そのため、「預金の相続税はいくら」「有価証券の相続税はいくら」「不動産の相続税はいくら」といった具合に、別々に考
えることが、そもそもできません。
さらに相続税は、遺産を元にして計算しますが、あくまで課税は相続人各人に対しておこなわれます。したがって、相続
人の人数などによっても、相続税は変わります。
「不動産の価格がいくらだから、相続税はいくらになる」と、単純にはいえないのです。
不動産の相続税について理解するためには、相続税の計算プロセスを正しく理解する必要があります。
2-2.誤解が多い「相続税の税率表」
不動産を含めた相続財産の相続税計算に用いられる税率は、相続税の速算表(税率表)を見ればわかります。しかし、
この表については、誤解されていることがよくあります。
この表は、相続人各人の「法定相続分に応じた取得金額」に用いるもので、相続税の計算プロセスにおいては、中盤で
利用するものです。
それなのに、この表を見て、「うちの不動産の相続税評価額は1億円くらいだから、30%で3,000万円、そこから700万円
を控除して2,300万円の相続税になるの?」と、いきなり遺産額を当てはめて考えてしまうことがよくあります。それは、間
違いです。
相続人各人の「法定相続分に応じた取得金額」については、次の「相続税の計算プロセス」で解説します。
▼相続税の速算表
法定相続分に応じた取得金額 |
税率 |
控除額 |
1,000万円以下 |
10% |
- |
3,000万円以下 |
15% |
50万円 |
5,000万円以下 |
20% |
200万円 |
1億円以下 |
30% |
700万円 |
2億円以下 |
40% |
1,700万円 |
3億円以下 |
45% |
2,700万円 |
6億円以下 |
50% |
4,200万円 |
6億円超 |
55% |
7,200万円 |
出所:国税庁WEBサイト
3.相続税の計算プロセス
ここからは、実際の相続税の計算プロセスを解説します。相続税の計算は、大きく6つのステップで進みます。
▼相続税計算の6ステップ
3-1.ステップ1:法定相続人を確定
最初に、法定相続人(相続人)、つまり相続する権利を有する人が「誰なのか」「何人いるのか」を確定します。法定相続
人になれるのは、下記の人です。
●相続順位(死亡した人から見た関係)
配偶者は、必ず相続人になる
第1順位:子(または代襲相続者の孫、ひ孫など)
第2順位:直系尊属(父母や祖父母など)
第3順位:兄弟姉妹(または代襲相続者の甥姪)
配偶者以外の人については、相続順位が定められており、第1順位の人がいる場合に第2順位の人が法定相続
人になることはできません。また、相続発生時点で相続権を持つ人が死亡している場合、その人に子がいれば、その
子が代わって相続人になれる場合があります。これを「代襲相続」といいます。
3-2.ステップ2:正味の遺産総額を把握
相続税は、原則的には被相続人の遺産(相続財産)のすべてが対象になります。
財産の評価額は、相続時点(被相続人が死亡した日)のものとなります。
ここで、現金や預金ならば、それがいくらなのかは、明確にわかりますが、土地、建物、自動車、貴金属、骨董品など、
多くの相続財産は、現金や預金のように価額が明確というわけにはいきません。
そこで、すべての相続財産の価額は、国税庁が定めている「財産評価基本通達」という通達に則って評価されることにな
ります。不動産の評価方法については、後で詳しく説明します。
また、相続財産になるものには、下記のような例外があります。
相続時精算課税により贈与された財産を加える
非課税財産(祭祀用財産など)は差し引く
債務、葬儀費用などは差し引く
相続開始前3年以内の贈与財産(※)を加える
これらの要素をすべて加減して「正味の遺産総額」を把握します。
▼正味の遺産総額の求め方
(※)「相続開始前3年以内の贈与財産」の加算は、令和9年以降の相続から段階的に「7年以内」まで延長される予定で
す。
3-3.ステップ3:正味の遺産総額から基礎控除を引く
「正味の遺産総額」がわかったら、そこから「相続税の基礎控除」を差し引きます。相続税の基礎控除額は、以下の算式
で計算します。
▼基礎控除額の計算方法
3,000万円+(600万円×法定相続人の数)
正味の遺産総額から、基礎控除額を差し引いた残りが、相続税の「課税遺産総額(課税対象となる遺産総額)」となりま
す。もし、基礎控除額を差し引いた残りが0以下であれば、相続税は課税されません。
▼計算例
正味の遺産総額:1億円(預金4,000万円、不動産評価額6,000万円、その他の財産は無し)
法定相続人:3人(配偶者、長男、次男)
基礎控除額:3,000万円+(600万円×3人)=4,800万円
相続税の課税遺産総額(課税対象となる遺産総額):1億円-4,800万円=5,200万円
3-4.ステップ4:課税遺産総額を法定相続分で各相続人へ分割して、「法定相続分に応ずる取得金額」を算出
相続税の課税遺産総額が計算できたら、その金額を、“法定相続人が法定相続分で相続した”ものと仮定して、「法定相
続分に応ずる取得金額」を求めます。
「法定相続分」とは、民法で定められている相続財産の分割割合で、相続人の構成により異なります。
▼法定相続分
▼計算例
法定相続人:3人(配偶者、長男、次男)
法定相続分:配偶者1/2、長男1/4、次男1/4
相続税の課税遺産総額(課税対象となる遺産総額):5,200万円
法定相続分に応ずる取得金額:
配偶者5,200万円×1/2=2,600万円
長男5,200万円×1/4=1,300万円
次男5,200万円×1/4=1,300万円
なお、遺産は必ずしも法定相続分どおりに分割する必要はありません。実際の相続割合は、相続人による「遺産分割協
議」や、故人が書き残した「遺言書」によって自由に分配できます。
「それなら、法定相続分が定められている意味があるのか」と思われるかもしれませんが、法定相続分は、相続税の計
算プロセスでたびたび登場する、重要な考え方なのです。
3-5.ステップ5:相続税の税率と控除額を当てはめて、相続税の総額を計算
相続人各人の「法定相続分に応ずる取得金額」に、先に掲載した「相続税の速算表」の税率と控除額を当てはめて、相
続人各人の「仮の相続税額」を計算します。
次に、それを合計して、相続人全員で納める「相続税の総額」を計算します。
▼計算例
法定相続分に応ずる取得金額:配偶者2,600万円、長男1,300万円、次男1,300万円
配偶者の仮の相続税額:2,600万円×15%-50万円=340万円
長男の仮の相続税額:1,300万円×15%-50万円=145万円
次男の仮の相続税額:1,300万円×15%-50万円=145万円
相続税の総額:340万円+145万円+145万円=630万円
3-6.ステップ6:相続税の総額を、実際の相続割合で分配
求められた相続税の総額を、実際の相続分(分割割合)で各人にあん分します。計算例では、各人の実際の相続分は、
法定相続分どおりだったとします。
▼計算例
相続税の総額:630万円
実際の相続分:法定相続分どおり(配偶者1/2、長男1/4、次男1/4)
配偶者の相続税額:630万円×1/2=315万円
長男の相続税額:630万円×1/4=157.5万円
次男の相続税額:630万円×1/4=157.5万円
3-7.相続人各人に税額控除など適用して最終の納税額を確定する
上記によって求められた各人の相続税額に対して、適用できる税額控除や相続税の2割加算などがあればそれを適用
して、最終的に各人の相続税納税額が確定されます。
▼最終的な相続税額
配偶者の納税額:配偶者の税額軽減の適用により、0円
長男の納税額:157.5万円
次男の納税額:157.5万円
3-7-1.税額控除と、相続税の2割加算
税額控除とは「各相続人が納める税額の計算時に適用できる控除」です。いずれかの控除が適用できれば税額を減額
できます。税額控除には、下記の6種類があります。
配偶者控除(配偶者の税額軽減)
未成年者控除
障害者控除
贈与税額控除
相次相続控除
外国税額控除
なお、これらの控除は、最終段階の納税額から控除されるものであり、相続税の基礎控除とは異なるものです。
また、税額控除とは逆に、一定の人が遺産を取得した場合に相続税額が加算される「相続税の2割加算」という規定も
あります。
「相続税の2割加算」とは、相続などで財産を受け取った人が、
①被相続人(亡くなった人)の一親等の血族
②代襲相続人となった直系卑属(孫、ひ孫など)
③被相続人の配偶者
“以外”の人である場合に、相続税額に2割が加えられて計算されるという仕組みです。例えば、兄弟姉妹が相続した
場合や、孫への遺贈などの場合が該当します。
▼納税額の決定
4.相続税における不動産(土地)の評価方法
相続財産は、原則的に、相続発生時点(被相続人が死亡した日)における、相続財産の時価で評価されます。不
動産のように、はっきりと価格がわからない相続財産について、相続人が勝手に「市場ではこれくらいの評価です」と判
断していては、課税の不公平につながります。そこで、国税庁は「財産評価基本通達」という通達により、相続財産の評
価基準を公表しています。
相続や贈与における財産の評価は、すべてこの「財産評価基本通達」に定められた方法でおこなわれます。
不動産の評価は、土地と建物とに分かれます。
まず、土地の評価方法について解説します。
4-1.土地の種類
土地の種類のことを「地目」といいます。不動産登記法(不動産登記規則)では、土地には23種類もの地目が定められて
いますが、財産評価基本通達では、以下の10種類が区分され、それぞれについて評価方法が規定されています。
①宅地、②田、③畑、④山林、⑤原野、⑥牧場、⑦池沼、⑧削除(旧・塩田)、⑨鉱泉地、⑩雑種地
ここでは、一般の人にもっとも関係が深いであろう「宅地」について説明します。
4-2.宅地の種類
宅地とは、建物が建てられているか、もしくは建物の敷地のために利用できる土地のことです。
財産評価基本通達では、宅地はさらに、利用形態に応じて「自用地」「貸宅地」「貸家建付地」などに区分されており、そ
れぞれ評価方法が異なっています。
4-2-1.自用地
「自用地」とは、基本的に、自分で利用している自己所有の土地です。例えば、自宅が建っている自己所有の土地
が該当します。
自用地の所有者に利用や処分に際しての制限はなく、自由におこなうことができます。
また、人に貸している土地でも、家族などに対して対価を得ず、無償で貸している(使用貸借といいます)土地は、自用地
の区分となります。
4-2-2.貸宅地とは
国税庁では、貸宅地を「借地権など宅地の上に存する権利の目的となっている宅地」と定義しています。簡単にいえば、
借地権などが設定されており、他人がその上に他人所有の建物を建てている土地です。
なお、他人に貸している土地でも、借地人が土地上に建物を建てずに使用している場合は、借地権は発生せず、貸宅地
の評価とはなりません。
4-2-3.貸家建付地とは
「貸家建付地(かしやたてつけち)」とは、貸家の敷地として使用されている宅地のことです。例えば、自己所有の土地に
、自分で貸家やアパートを建てて第三者に貸して住まわせている場合に、その土地は貸家建付地に該当します。
貸宅地と貸家建付地では、土地の所有者はどちらも自分ですが、土地上の建物の所有者が他人(貸宅地)なのか、自
分(貸家建付地)なのかが異なります。
4-3.基本となる自用地の相続税評価
土地の相続税計算上の評価額は、自用地がその基本となっています。「貸家建付地」「貸宅地」でも、まずは自用地
であるとした場合の評価をおこない、それぞれの土地の種類ごとに調整計算をする仕組みになっています。また、一般
の方が居住している自宅などは、自用地評価になります。
したがって、まず自用地評価の方法を確実に理解してください。
4-3-1.自用地の相続税評価には、路線価方式と倍率方式とがある
自用地の相続税評価は、「路線価方式」または「倍率方式」のいずれかでおこないます。
原則としては、公的な評価額である「相続税路線価」を基準とした路線価方式が用いられます。そして、路線価が
設定されていない地域の土地については「倍率方式」を適用するルールです。おおむね、都市部や住宅地は路線価が
設定されています。郊外は、設定されていない地域があります。
自宅など、調べたい土地がどちらの方式に該当するのかは、国税庁Webサイトの「路線価図・評価倍率表」のページに
掲載されている地図で調べることができます。
路線価が設定されている住所は、路線価図のページに掲載されている地名をクリックすれば路線価図が開きます。路線
価が設定されていない倍率方式の地域は、「この市区町村の評価倍率表を見る」というリンクから、倍率表を表示させれ
ばわかります。
▼国税庁Webサイトの路線価図・評価倍率表ページ
(参考)国税庁「路線価図・評価倍率表」
4-3-2.路線価とは
路線価の「路線」とは、道路のことです。路線価とは、主要な道路に面した1平方メートルあたりの土地価格です。
路線価は、国税庁が調査・公表しており、毎年、1月1日時点の路線価データが、7月初旬ごろに公表されます。
なお、路線価の他にも、公的な地価として、国土交通省が調査・公表している「公示地価」や都道府県が調査・公表して
いる「基準地価」などもありますが、相続税や贈与税を計算するときには、必ず「路線価」が用いられます。
また、路線価には、相続税を計算するための「相続税路線価」のほかに、固定資産税を計算するための「固定資産税路
線価」(各自治体が決定します)があります。以下では簡略化のため、単に「路線価」としている場合、相続税路線価を指
すこととします。
4-3-3.路線価図の見方
路線価は、路線価図という地図に掲載されています。先に示した国税庁のウェブサイトで調べることができます。
▼路線価図の例
路線価図では、上記のように、道路上に数字+アルファベットが記されています。数字が路線価で、この道路に面した土
地の1平米あたりの地価を表しています。単位は「千円」です。590Cと書かれた道路に面した土地は、590×1,000円=
59万円が、1平米あたりの相続税評価額となるわけです。
路線価図には、他にも細かな見方のルールがあります。下記の記事を参照してください。
4-3-4.路線価方式による相続税評価額の計算方法
路線価方式の計算式は以下のとおりです。
相続税路線価×各種補正率×面積
例えば、路線価図で「590C」の道路に面した土地が、80平米の広さで、補正がないとすれば、以下がその土地の相続税
評価額となります。
590(路線価)×80(面積)×1,000円=4,720万円
なお、「各種補正率」とは、土地の形状や周囲の状況によって評価を調整するための乗率です。
例えば、土地の間口が広い長方形の土地と、間口が狭く奥行きが長い土地や三角形の土地などとでは、利用のしやす
さに違いが出るため、同じ面積でも評価を同じにするのは不合理です。
このような土地の利用しやすさによる評価を調整するのが各種補正率の役割です。どのような補正があり、どれほどの
補正率が設定されているのかも、国税庁のウェブサイトで確認できます。
4-3-5.倍率方式による相続税評価額の計算方法
倍率方式の土地の評価額計算方法は簡単で、以下のとおりです。
固定資産税評価額×倍率
固定資産税評価額は毎年、市区町村役所から送付される納税通知にある、固定資産税課税明細書に記載されていま
す。相続税評価で使用する評価額は、被相続人が亡くなった年の分です。
また、倍率は、上記の国税庁「路線価図・評価倍率表」のページを開いていくと掲載されている「倍率表」に記載されてい
ます。
上記のように、「倍率表」に「1.1倍」とあれば、固定資産税評価額の1.1倍が、その土地の相続税評価額になります。
4-4.貸宅地の相続税評価
貸宅地の相続税評価額は、自用地の評価額から借地権割合を差し引いて求めます。自用地よりも評価額は低くなりま
す。
▼貸宅地の相続税評価額
貸宅地の相続税評価額=自用地評価額-(自用地評価額×借地権割合)
土地の借主がその上に建物を建てて住んでいれば、地主は土地を自由に処分できません。借地人が持つ借地権は、非
常に強い権利です。そのため、地主が土地を自由に処分・利用できない分だけ、評価額を下げようというのが、上記の
式の基本的な考え方です。
借地権分を差し引く割合である「借地権割合」は、路線価方式の場合、路線価の右側に記載されているA~Gまでの記
号によりわかります。
A:90%B:80%C:70%D:60%E:50%F:40%G:30%
例えば、先の路線価図の例では、「590C」とありますので、「C」が借地権割合(70%)です。
また、倍率方式の場合は、倍率表に借地権割合が記載されています。先の倍率表の例で確認してください。
なお、路線価図、倍率表に借地権割合の表記がない場合もあります。これは「借地権の取引慣行がないと認められる地
域」です。ここではその説明は割愛します。
借地権が設定された土地の相続は、複雑な要素が多くなります。下記のページをあわせて参照ください。
4-4-1.貸宅地の相続税評価額の計算例
貸宅地の相続税評価を試算してみましょう。路線価図で「500D」と記載されている路線に面しており(1平米あたり50万円
、借地権割合60%)、面積300平米の宅地だとします。
自用地評価額と貸宅地評価額は以下のとおりです(各種補正はないものと仮定します)。
自用地評価額:50万円×300平米=1億5,000万円
貸宅地評価額:1億5,000万円-(1億5,000万円×60%)=6,000万円
自用地の40%で評価されることになり、貸宅地は大幅な評価減になることがわかります。
4-5.貸家建付地の相続税評価
貸家建付地の相続税評価額は、以下の計算式で求めます。
貸家建付地の評価額=自用地評価額-(自用地評価額×借地権割合×借家権割合×賃貸割合)
「借家権割合」とは、借家人(家の借主)の権利部分に相当する金額です。現在では、全国共通で30%に設定されていま
す
。
また、「賃貸割合」は、その物件の全床面積に対する賃貸している(入居者がいる)床面積の割合です。例えば、面積が
同じである10室の貸住戸があるアパートで9室に入居者があり、1室が空室なら賃貸割合は90%です。なお、所有者は
そのアパートに居住していないものとします。
4-5-1.貸家建付地の相続税評価額の計算例
貸家建付地の相続税評価を試算してみましょう。10室のアパートを運営しているケースで考えます。
【設例】
土地の自用地評価額5,000万円
借地権割合60%
借家権割合30%
賃貸割合80%(10室中8室に入居。各室の面積は同じ)
貸家建付地評価額:5,000万円-(5,000万円×60%×30%×80%)=4,280万円
なお、これは土地についての評価だけです。実際にはアパートの建物も相続財産として評価されます。
5.相続税における不動産(建物)の評価方法
建物(家屋)も不動産ですが、土地とは別の計算方法で相続税評価額を求めます。
5-1.被相続人が住んでいた建物(自宅建物)
被相続人が居住していた、いわゆる「自宅」も相続財産として課税対象になります。この場合、相続税評価額の計算式
は以下になります。
固定資産税評価額×1.0
つまり、固定資産税評価額=相続税評価額です。
5-2.賃貸物件の場合
賃貸物件とは、被相続人が所有していた賃貸アパートや賃貸マンション、あるいは戸建て住宅を人に貸していた場合の
、その建物です。
この場合の評価額は、下記になります。
固定資産税評価額×(1-借家権割合×賃貸割合)
借家権割合は、現在は全国一律で30%となっています。また、「賃貸割合」とは、実際に人に貸している部分の床面積の
割合です。
6.相続税における不動産(マンション)の評価方法(令和6年~)
区分所有のマンションは建物(住戸部分)だけを所有しているように思うことが多いですが、マンションが建っている敷地
は、住戸の所有者全員で共有しています。区分所有マンションの相続税評価額の計算では、建物の住戸部分に敷地の
共有持分も加える必要があります。
建物の住戸部分の評価額は、固定資産税評価額と同額です。敷地の共有部分の評価額は、敷地全体の評価額に持分
割合(敷地権割合)をかけて求めます。持分割合(敷地権割合)は、売買契約書や登記簿(登記事項証明書)に記載され
ています。
マンションの土地(敷地の共有部分)の相続税評価額=敷地全体の評価額×持分割合(敷地権割合)
なお、タワーマンションを使った過度な節税が行われていたことから、区分所有マンションの評価方法が見直されました。
令和6年以降に相続があった場合は、下記のように「区分所有補正率」をかけて補正します。
マンションの相続税評価額=土地(敷地の共有持分)の評価額×区分所有補正率+建物の住戸部分の評価額×区分
所有補正率
区分所有補正率の算定方法は非常に複雑であるため、国税庁の「計算明細書」を使って算定します。
居住用の区分所有財産の評価に係る区分所有補正率の計算明細書|国税庁
(Excelファイル、PDFファイル)
この計算明細書に、マンションの築年数、総階数、所在階、建物の専有部分の面積、敷地の面積、持分割合(敷地権割
合)を入力すると、簡単に区分所有補正率を求めることができます。
7.相続税の計算シミュレーション
相続税の計算は複雑です。正しくその計算をするのは大変ですが、「相続税の総額」の概算であれば、簡単に計算でき
ます。
8.不動産の相続にかかる、相続税以外の税金
不動産を相続したときにかかる税金には、相続税以外に、登録免許税があります。また、不動産取得税がかかる場合も
あります。
8-1.不動産の登記には、登録免許税がかかる
登録免許税とは、不動産の「登記」(不動産の名義変更など、不動産の権利にかんする記録の変更を法務局に
申請すること)手続きをする際に納付する税金です。
相続によって引き継いだ不動産の所有者を変更する所有権移転登記の際に課税されます。
登録免許税は、下記により計算します。
内容 |
課税標準(※1) |
税率 |
相続 |
固定資産税評価額(※2) |
0.4% |
(※1)税金の計算の基礎となる価格のこと
(※2)固定資産税を計算するために、市区町村が評価している不動産価格
なお、登録免許税には、免税措置などの例外も多く改正も比較的頻繁におこなわれています。あわせて、下記の記事を
参照してください。
8-2.遺贈による不動産の取得の場合は、不動産取得税も課税される
なお、相続によってではなく、遺贈(遺言による指定)で相続人以外の人が不動産を取得した場合は、登録免許
税の他に、不動産取得税もかかります。なお、遺贈には包括遺贈(財産を指定しない遺贈)と特定遺贈(財産を指定
する遺贈)がありますが、不動産取得税が課税されるのは特定遺贈の場合です。
不動産取得税は固定資産税評価額に対して、原則として4%の税率で課税されます。ただし、令和9年3月31日までに
取得した土地や家屋(住宅のみ)については3%に軽減される特例が設けられています。また、令和9年3月31日までに
宅地等を取得した場合は、価格が1/2に軽減される特例措置があります。
9.不動産の相続における、相続税対策方法
一般的に、不動産の評価額は高額になります。都市部に自宅を所有している場合など、思った以上の高値で評価される
こともあります。当然、それは相続税額の増大につながります。
そこで、不動産の相続税を減額するための対策方法を、紹介していきます。
9-1.小規模宅地等の特例を適用する
土地の評価額の圧縮効果が大きな特例として有名なのが、「小規模宅地等の特例」です。
この特例が適用できると、一定面積までの自宅土地などの相続税評価額が、最大で80%減額できます。例えば
、1億円の評価額の土地なら2,000万円になるので、非常に大きな相続税圧縮効果があります。なお、土地のみが対象
の特例で、建物は関係ありません。
ただし、小規模宅地等の特例は、どんな土地でも適用できるわけではなく、下記のような土地について、一定の面積まで
が対象になります。
種類 |
概要 |
限度面積 |
減額割合 |
特定居住用宅地等 |
被相続人が自宅として使っていた土地 |
330平米 |
80% |
特定事業用宅地等 |
被相続人が事業をおこなっていた場合の事業用土地 |
400平米 |
80% |
特定同族会社事業用宅地等 |
同族会社の事業用に使っていた土地 |
400平米 |
80% |
貸付事業用宅地等 |
賃貸事業に使っていた土地 |
200平米 |
50% |
また、特定居住用宅地等の場合、原則的に被相続人と同居していた親族がその不動産を相続した場合にのみ特例が
適用できます(例外あり)。そのほか、相続税の申告期限まで所有を続けなければならないことや、事業用宅地の場合は
事業を引き継ぐことなど、細かい適用要件が種々定められています。下記の記事も参照ください。
9-2.自用地を、貸宅地、貸家建付地に変更する
土地の利用用途が、貸宅地や貸家建付地の場合、自用地に比べて相続税評価額が下がります。もし、更地のままの土
地があるのなら、そのまま相続するよりは、アパートを建てたり、貸宅地にしたりすれば、相続税評価額を下げることが
可能です。
具体例で考えてみましょう。
自用地評価額が1億円の土地を「(1)自宅を建てて住む場合」「(2)他人が家を建てて住む場合」「(3)自分がアパートを
建てて第三者に貸す場合」を考えます。借地権割合は60%、借家権割合は30%とします。(3)の賃貸割合は100%とし
ます。
それぞれの評価額は以下のとおりです。
|
(1)自用地評価 |
(2)貸宅地評価 |
(3)貸家建付地評価 |
計算式 |
– |
1億円-(1億円×60%) |
1億円-(1億円×60%×30%×100%) |
相続税評価額 |
1億円 |
4,000万円 |
8,200万円 |
貸家建付地にすると、自用地に比べて1,800万円評価を抑えられました。また、貸宅地は自用地の半額以下に評価が下
がりました。
もちろん、貸家建付地にするにはアパートなどを建てなければならず、その費用がかかります。また、貸宅地にするには
借地権を設定しなければなりません。それらをトータルに考慮した上で、有利・不利を判断するには、綿密なシミュレ
ーションが必要となります。
9-3.相続税評価の減額補正が適用できないかを検討する
路線価の計算方法の部分で説明したとおり、土地の形状や面積、周囲の状況等により、土地の相続税評価額に減額補
正が可能な場合があります。
例えば土地の形が不整形(長方形や正方形ではなく、形の悪い土地)だったり、間口や奥行きが狭い場合などは土地の
使用方法が限られてしまうため評価が減額されます。他にもがけ地のように高低差が大きい場合や、線路のすぐそばな
どで騒音が激しい立地なども減額されます。
ただし、このような補正が適用可能かどうかは、土地の相続を多数扱った経験が豊富な専門家(相続専門の税理士や
土地家屋調査士)でないと判断が難しいものです。
適用可能かどうかの検討に際しては、必ず専門家の意見を求める必要があります。
9-4.相続時精算課税による不動産の生前贈与が有効となるかを検討する
相続時精算課税とは、特定の贈与者からの贈与について贈与税が軽減され、その贈与者が死亡したときに、相
続財産に組み入れられて相続税が課税される制度です。贈与税は、年間110万円+通算2,500万円までの贈与につ
いては課税されず、これらの金額を超える贈与に一律20%で課税されます。
相続時精算課税の利用にあたっては、税務署に選択届を提出することが必要です。また、贈与者との関係性や年齢な
ど、各種の要件があり、誰でも利用できる制度ではありません。詳しい要件などは、下記の記事を参照してください。
9-4-1.相続時精算課税が、課税対策になる場合
相続時精算課税は、贈与時に贈与税が課されず、相続時に他の相続財産とまとめて相続税が計算されるという制度で
す。そのため、原則的には課税を圧縮するような、いわゆる節税効果はありません。
ただし、その贈与された財産について、相続時の財産評価が「贈与時点の価額」でおこなわれる点がポイントです。つま
り、贈与時の時点で、課税評価額が固定されるのです。
例えば、相続時精算課税で、課税評価額2,500万円の土地を贈与したとします。贈与時点では贈与税は課税されません
。その後、贈与者が死亡して相続となったとき、その土地の時価が5,000万円に値上がりしていたとします。その場合でも
、贈与時の評価額である2,500万円の財産として相続財産へ組み入れられるのです。結果として、相続時の評価額を圧
縮できたことになります。
ただし、逆に贈与時よりも相続時の評価額が下がっている場合でも、贈与時の評価額で評価されることになり、その場
合は不利となります。
相続時精算課税の利用を検討する場合は、これらの特徴をよく理解してください。
9-5.「おしどり贈与」特例を活用した生前贈与
上記の、贈与時点で、その財産に対する課税評価額が固定されるという効果は、相続時精算課税ではなく、暦年課税(
贈与税の原則的な課税方法)でも同じです。
しかし、暦年課税の贈与税の税率は、相続税と比べてかなり高いので、高額な不動産を贈与した場合、仮にその不動産
が将来値上がりしたとしても、課税上有利になるかどうかは、判断が難しいところです。
ただし、「おしどり贈与」特例が利用できれば、かなり有利になるでしょう。「おしどり贈与」特例とは、「夫婦の間で居住用
の不動産を贈与したときの配偶者控除」のことです。
本特例を適用すれば、夫婦間で自宅、または自宅購入のための資金の贈与がおこなわれた場合に、2,000万円
まで(暦年課税の基礎控除とあわせると2,110万円まで)が非課税とされます。
本特例の主な適用要件は、次のとおりです。
婚姻期間が20年以上の夫婦間での贈与であること
贈与財産が居住用不動産(自宅)または居住用不動産を取得するための金銭であること
贈与の翌年3月15日までに贈与の対象となった居住用不動産に受贈者が居住していること
ただし、配偶者については、後で説明する「配偶者の税額軽減」があり、原則として1億6,000万円までの財産の相続は
非課税になります。
また、本制度を利用して配偶者に自宅住居を贈与してしまうと、その住居については、相続の際に「小規模宅地等の特
例」が適用できなくなります。
そのため、「おしどり贈与」特例の利用価値がある場面は限られるでしょう。
9-6.配偶者は、1億6,000万円または法定相続分まで非課税
相続税は、相続人各人に課税されます。配偶者が相続人の場合、「配偶者の税額の軽減」(「配偶者控除」ともいいます
)という特例が用意されており、相続で実際に取得した遺産額が、「1億6,000万円(もしくは法定相続分相当額まで
)」であれば、相続税は課税されません。
被相続人に配偶者がいる場合、高額の評価額となる不動産は、配偶者に相続させると、相続税の課税対策になります。
もちろん、被相続人に配偶者がいない場合や、いわゆる2次相続の場合には利用できません。
9-7.養子縁組をして法定相続人を増やす
不動産に限らない一般的な相続税対策です。
養子縁組をして、法定相続人が増えれば、相続税の基礎控除が増えたり、生命保険金の非課税枠が増えたりすること
で、相続税の節税につながります。よく用いられるのは、孫を養子にする「孫養子」です。
なお、相続税の計算上、法定相続人として加算できる普通養子は、実子がいない人の場合は2名まで、実子がい
る人の場合は1名までです。特別養子については、その制限はありません。
10.不動産を相続するときの注意点
ここまで、主に不動産にかんする相続税などの税制面について解説してきました。最後に、不動産を相続する際の、税
制面以外の注意点を紹介します。
10-1.不動産の共有は避けたほうがいい
不動産が相続財産に含まれる場合に、困ることの1つに、不動産は預金のように簡単に分割することができないことが
あります。そのため、1つの不動産の「持分」を分割して、複数の相続人が共有する形で相続するケースもあります。
しかし、不動産を共有すると、売却や建て替えをしたい場合、共有者全員の同意が必要になります。1世代の相続ならま
だいいのですが、相続人が死亡してその子に共有持分が相続され、さらにその子に……と、代を重ねて共有不動産が
相続されていくと、共有者同士が、互いにほとんど知らない相手になっているということも、実際によくあります。
これが、最近よく聞く「空き家問題」の大きな要因にもなっているのです。
そこで、令和5年には民法の改正が施行され、共有者が行方不明の場合、他の共有者全員の同意があれば不動産の
処分等ができるようになり、これまでよりは多少柔軟な対応が可能になりました。
しかし、原則的に、相続による不動産の共有は、避けるべきものだと考えたほうがいいでしょう。
10-2.複数人で1つの不動産を相続する場合は、代償分割か換価分割を検討する
複数の相続人がいる相続で、相続財産に、分割できない不動産がある場合、上述のように共有での相続は、おすすめ
できません。ではどうすればいいかといえば、方法として、「代償分割」と「換価分割」とが考えられます。
10-2-1.代償分割とは
代償分割とは、複数の相続人のうち、特定の人が不動産などの財産を引き継いだ場合、他の相続人に対して、相当す
る金銭を支払う方法です。
10-2-2.換価分割とは
換価分割とは、不動産等を売却して、得られた現金を複数の相続人で分割する方法です。公平な分割が可能ですが、
時間や手間がかかることや、売却に際して譲渡税が課税されることなどのデメリットもあります。
10-3.被相続人に借金があった場合、限定承認で自宅を相続する方法もある
被相続人に多額の借金などの債務(マイナスの遺産)があり、それが預貯金や不動産などのプラスの遺産よりも多い場
合、相続した相続人がその借金などを返済していかなければなりません。そういった場合、一定期間内に家庭裁判所に
申述すれば、相続放棄を選択することもできます。
しかし、相続放棄は、プラスの遺産とマイナスの遺産のすべてを放棄することになり、思い出がある自宅だけは残したい
ということはできません。
そういうときには、限定承認という方法の利用も検討できます。限定承認とは、「プラスの遺産の範囲内で、マイナスの遺
産も引き継ぐ」というものです。例えば、プラスの遺産が、評価額が1億円の自宅、マイナスの遺産が借金2億円だった場
合は、限定承認により、自宅と、借金1億円を相続することが可能です。
限定承認にしろ、相続放棄にしろ、相続開始を知った日の翌日から3か月以内に、家庭裁判所に申述する必要があります。
10-4.納税資金が準備できない場合は、不動産の売却を検討する
相続財産に占める不動産の割合が高い場合、相続税が高額になる一方で納税資金には余裕がない状態になりがちで
す。相続税が高額になる場合は、不動産の売却を検討する必要があります。
しかし、相続税の納税期限は相続発生後10か月と短いため、不動産の売却も急ぐ必要があり、いわゆる「足元を見られ
る」ことになって、安値で売却せざるを得なくなることがよくあります。このような事態を防ぐには、生前から相続税の金
額を計算して納税資金を確保しておくことが大切です。
10-5.不動産の名義変更(相続登記)は義務化される
不動産は、法務局に登記されています。登記とは、権利関係や所有者が記録・公開されていることです。相続等により
所有者が変更になった場合は、3年以内に名義変更の登記(相続登記)をしなければなりません。
相続登記の義務化は、令和6年4月1日に施行されましたが、過去に相続した不動産も対象になります。登記を忘れると
10万円以下の過料の対象となる場合もあるので、注意しましょう。
11.まとめ:不動産の相続は、相続税に詳しい専門家の助けを得ながら早めの準備を
相続財産には様々なものがありますが、その中でも不動産は、評価額が高くなり、しかも評価方法が複雑な財産です。
税理士が不動産の相続税評価をする際にも、多くの不動産の相続を扱ってきた相続専門税理士と、そうではない税理
士とでは、不動産の課税評価額が大きく変わることもあるのです。
さらに、将来の相続を見据えた不動産の相続税対策になると、税制改正なども含めて、考慮すべき要素が多くなること
に加えて、単に課税を圧縮すればよいわけではなく、いわゆる遺産分割争いを防ぐための対策という視点も必要になり
ます。
こういった複雑な要素があるため、不動産の相続対策を考える方、あるいはすでに相続が発生して、どのように
評価すればよいかわからない方は、ぜひ経験豊富な専門家に早めにご相談ください。
地積規模の大きな宅地の評価
奥行価額補正率表